shop33 90年代後半 AKIRA ARATAKE (next33)

2011年6月30日 18:52

 

この前のブログでも書いたようにマッキントッシュが急速に日本のクリエーターに普及し始めた、95年頃から多くのエッジの効いたブランドやアーティストの持込みが多くなりました。

 

交響詩篇エウレカセブンの脚本を手がけた佐藤大氏もこの頃33に良く来てもらう様になり、ホントに20枚足らずのTシャツを持ち込んでは、すぐに売り切っては次ぎをまた売り切るという商売と言うより、パフォーマンスと言った方が良いものを見せてくれました。彼とは共同で、フロッピーをぶら下げてペンダントのようなアクセサリーにした"Access-ary"(洒落)というグッズを作って、幕張のマックワールドで販売したりしました。この中には佐藤氏の短編小説が入っており、PCで読める様になっていました。電子書籍が普及した現在から考えると原始的ながらも面白いことを15年も前にやっていました。

その佐藤氏が主催した、渋谷ラブホテル街のど真ん中にあったクラブ(ああ、名前は忘れてしまいました)でゲームとクラブを融合させた画期的なイベント、TGNG(TOKYO GAMERS NIGHT GROOVE)に行った時に彼に、すごく面白いグラフィックチームがいると紹介され、不覚にも僕は自分ことを名乗らずに色々とその若い人たちと話してると、彼らが「今度、吉祥寺にあるshop33という店に自分達のTシャツを置いてもらおうと思ってるんですよ!」と言ったので、「へ〜、shop33ですかー... ってそれウチの店ですよ!」でお互い顔を見合わせて大笑いしたような記憶があります。それがnendo graphixxの人達との出会いで、すぐに取り扱いが始まりました。もうその後の彼らの活躍は述べるべくもありません。

95年には背の高い若い男性が飛び込みでTシャツを持ち込んで来ました。それはCGの転写プリントにシルクスクリーンのグラフィックを重ねてプリントした、フロッピー付きのTシャツでした。それがASYURA FIRSTです。CGは「AKIRA」や「鉄男」を彷彿とさせるサイバーパンク(古い)に当時先端のタイポグラフィーをレイヤーで多用して表現したもので、かつて見た事の無い斬新なものでした。80年代のAKIRAに代表されるサブカルチャーを90年代のマッキントッシュによるサブカルチャーに引き継いだ日本独自のモノだと思いました。当然、Tシャツは飛ぶ様に売れました。それからASYURAはグラフィックの表現をTシャツの枠を超えウェア全般や音楽ジャケットのアートワーク等へとその活動を拡げていきます。

エヴァンゲリオンが大ブレークした翌年にはその空気感をシニカルな視点でグラフィックに表したTシャツを持ち込んで、また凄いブランドが現れました。それが3rd stoneです。その後名前をNU/KEに変えアパレル・ブランドとして急速に成長していきました。そして今のJULIUSに至ります。ASYURAとNU/KEは良いライバル関係にあり、コラボレーションしたN/AというプロジェクトでTシャツ、共同販売空間やクラブパーティを開催したりしていました。現在はJULIUSは日本で独自のポジションを確立した有数のファッション・ブランド、ASYURAのSTEREOTYPE PRODUKTSは映像グラフィックの企画制作会社とフィールドは違いますが、それぞれ分野の最前線で活躍しています。

最後にもう一度ASYURAに触れると、扱い始めの頃shop33で同時期にフリーペーパーを置いていた現代美術家の村上隆氏とも、彼らは「攻殻機動隊」の宣伝デザインでコラボレーションするようになります。ポスター制作の為、当時村上さんは彼らのオフィスに通い詰めで、最近見かけないなと思っていたら突然、店に「いや〜、山田君、天才だよ!!」と感動した面持ちで伝えに来たのを、昨日のことのように今でも覚えています。山田大輔氏は当時のASYURAのチーフデザイナーでした。

残念ながら、彼はそれから8年後の2003年に心筋梗塞で急逝。享年30才の若さでした。彼は会いたての頃に言ってましたが、前のブログでも書いたグラフィック・マニピュレーターのTシャツを見てデザイナーを目指したそうです。もちろん、彼の才能では遅かれ早かれデザイナーになったと思いますが、彼のデザインのスピリッツは、グラフィック・マニピュレーターからASYURAが生まれたように、今でもそこから触発され、Tシャツに限らず何かをクリエイトしている人達に遺伝子は引き継がれていると思います。

当時、山田氏への追悼文で、JULIUSのデザイナの堀川氏が語っていた「マッキントッシュが武器として機能した90年代」はこのようにして過ぎて行きました。


PS. 勿論、ここで取り上げたブランドの他にも興味深いブランドがshop33には沢山ありました。その紹介はまた次の機会に。

next thirty three

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