Rear Echelon Mother F**ker後編 〜 小倉拓也(REMIND、カイ燗)

2011年7月 3日 15:34

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〜 REMIND

相も変わらず、CHILL OUTで漂い、ハードフロアやリッチーホウティン(だいぶ日本酒好きらしく、ベルリンで日本酒BARをやってるとかなんとか)の303の音に脳をいじられつつ、ウータンクランの青龍刀に首を斬られ、ジョシュウィンクに笑い飛ばされた、少し後位からの話です。
REMINDは古い友人である、伊藤、山下、自分の三人で始めました。古くからのスケボー仲間で、ある時期まったく連絡も取らず、会わない期間がありました。自分も何となく過ごしていて、ADなんかの仕事をしつつ、当時住んでた国立の、レコード屋(当時、リトテンのTICO氏が海賊眼帯して店番してた)に行ったり、ほぼ毎日酒を呑みに行ったりとダラダラした生活をしておりました。

すでに裏原文化が巨大な膨らみを見せインディーズだった服や音楽がそれなりにマーケットととして成り立ち、自分と同世代の人達が、作品を創っては世の中に出していく環境が、普通に出来あがりつつある頃、たまたま見たNHKスペシャルに衝撃をうけました。タイトルは確か【失われた機会?敵との対話】?だったと思います、内容はベトナム戦争当時の両国の高官たちが、戦後、ハノイに集まり、何故200万人を超える犠牲者を出すまでに泥沼化していったのかを論議した、おそらく歴史上例をみない対話のドキュメントでした。(細かくは割愛)そこから、戦争責任を一応認めた元国防長官のマクナマラの回顧録や、ティムオブライエンなどの関連本を読み漁りつつ、ある言葉に目が止まりました。表題にもなっている、Rear Echelon Mother F**ker、頭文字をとってREMF(リンフ)という言葉で、ベトナム戦争当時、蒸し暑く、虫が飛び交うジャングルの中で、いつ来るか解らない敵の攻撃に、神経を擦りへらしながら前線で戦っていた兵士達に、何もせず後方から指令を出すだけの上官達への、皮肉混じりのスラングでした。そこに自分自身の状況を無理矢理強引に重ね合わせ、何もしていない自分がなんとも情けなく感じ、精神世界と現実世界を、オリエンタルカヌーで行ったり来たりしながら、日々「リンフ!」って叫びながら構想を練り始めました。


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最初から服でやろうとかは考えて無くて、段々と会う様になっていた2人に、俺こんな風に考えてんだけど、どうよって感じで、イメージで創ったミックステープ(タイトルはREMFvol.1!、冒頭から地獄の黙示録の天井扇風機?ヘリコプターの羽音で入り、「saigon....shit!」の後にCHILL OUTのエルビスが流れ、ナパーム弾の匂いを音で嗅ぎながら、最期はセイバーズオブパラダイス?宇宙で終わる、恐ろしいテープ。ある意味、初の作品。)などを聞いてもらい、ジャケットをデザインしたりしてました、ちょうどその頃、昔からの知り合いだった知人が、KLEを立ち上げ、アイテムをどんどん出し、溢れんばかりの世界観を発信しており、よく三人で事務所に押しかけ、刺激をもらいに行きつつ、昔からTシャツが非常に好きだったので、んじゃ自分が着たいものつくろうぜと出来上がったのが、TRAUMATIC EXPERIENCEとロゴがどーんとプリントされた、なんともネガティブで無骨な物でした。同じ時期にジャケット(写真)もつくり、33に置いてもらえて、そこから、まだワルシャワで働いてた、NEWDEALの大石君と知り合え、彼がDJする時なんかも着てもらったりして、共演してた、トレバーロッククリフに「お前なに背負ってんの?大丈夫か?」って当時言われたみたいで、今考えても申し訳ないと思っております、はい。

REMIND自体はその後、ゆっくりとアイテムを出していきましたが、身辺の変化などもあり、なかなか活動していけなくなりました。自分の今やっている事も形は違えど、ひとつのプロダクトとして、延長線上にある気がします、またいきなり服など出すかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
 



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〜 日本酒

今自分のしている事は、酒(純米酒)を適温に温め、お客さんに提供する、なんともシンプルですが、実は奥深い、お燗番という仕事をしてます。
古来の発酵物である日本酒は乳酸やコハク酸、アミノ酸など様々な酸やら菌で、造られてます。これらの酸や菌は、温める事で、その真価を発揮します。簡単に言いますと、美味しくなります。そんな酒を夏の夕暮れ時に、ゆるく人肌に温め、ダブやらアンビエントなど聴きながら、ゆるりと盃をかたむけると、普段の日常とは違う、やんわりとした気持ち良さに包まれます。カイ燗のモデル店舗は寅次郎の実家のとらやの食卓です。日本酒と酒の肴しかない、ごくごく普通な酒場ですが、皆様の日常のひとつに、燗酒というツールが入る事を願いながら、暑くなり始めた今日も燗をつけたいと思います。

最期に自分が好きな映画の、一場面をひとつ。気品のよい初老の男が一人、夏の暑い盛りに店に入ってくる、トントントントンと小気味良い音が響く中を、ゆっくりと、決まっているのであろうカウンターの席に座る、ハンカチで汗を軽く拭いながら、扇子をあおぎ、「女将酒をひとつ」と頼む。「はーい」と包丁の手を休め、前掛けで手を拭き、手馴れた動きで燗をつけはじめる、「暑いですねぇ」「そうだね 暑いね」 暫くして「はいどうぞ」出された徳利から白い平盃に酒を移し、口に運ぶ。「少しぬるいな」 「あらっ?ごめんなさい」。

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あとがき

自分の思いの中に在る、夢や欲求だったり、様々な不透明な事を同時快活にやって行く事は不可能だと思う。ただ、ボンヤリとしたそれ等の事を自己信仰とでもいうべき思いで進めると、ゆっくりと色がつき始め、やがて現実となる時が来る様な気がする。その、曖昧な信仰の源となっているものは、たぶん、生きる過程で生じる様々な物理的、精神的接触、からなんだろう。自分の足で稼ぎ、肌で感じた、90年初頭からのクラブカルチャーやストリートカルチャー、服、音、人、空気感や匂い、それ等の全てのエッセンスが絶妙にクロスオーバーしていた巨大な発信基地33が、自分の曖昧な自己信仰をはっきりとしたアイデンティティに変えてくれた。これは、生きる楽しみを創造してくれたと言っても過言ではない。もし、この先の過程の中で、ぬるま湯に浸かりそうな、もしくは浸かってしまっている自分が居たらいつでも言ってやりたい、「後方勤務の糞ったれっ」って。

散々たる超私的な文書に付き合って頂き有難うございました。


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吉祥寺 カイ燗
2011.06.24  10:00PM
Photographed by Kei Mrata
着用のT-SHIRTSはGio-Goi TOIL


next thirty three

next33スタッフがshopの最新情報、Gio-Goiや国内のインディースブランドの歴史や関連する音楽、アート、 各アイテムのディテールから、あんまり関係のない映画や本の紹介などを、ゆるーく語ります。
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