shop33 フリーペーパー 1998

2013年6月17日 17:04

事務所の移転の引越しやらで、少し遅れてしまった、shop33で発行していたフリーペーパーを振り返るシリーズ、第2弾。

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今回は1998年の6月号。ちょうど15年前。

表紙はソネットのマスコットキャラクター「モモ」ちゃんが原宿店の前に置かれたソファーで寛いでいる写真。
原宿の古い民家を改装した店舗は、ふた棟に分かれていて、奥の部屋で個展などを開催してました。このポストペット展もその一貫で、3坪の空間をmomoの部屋にしたもので、オープニングは結構な人が並びました。

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この号の特集コーナーはエウレカセブンなどを手掛けた脚本家の佐藤大氏がその年に出版したエッセイ集「ゼネレーションN」に関するインタビュー記事。装丁はデザイナーズ・リパブリック!CDジャケットのようにしたかったそうで、なんて粋なアイディアでしょう。

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佐藤大氏とは共同で作った"フロッピー・マガジン"なんてモノもあり、今度の引越しで整理してたら発見しました。それはさらにこのフリーペーパーから5年遡る1993年に制作されたのものです。

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中身は佐藤氏書き下ろしの短編小説等が入っていて、電子書籍の先駆け的な試みでした。MACのモニターで読む新鮮さと共に、内容もリアルとバーチャルの中で揺れるAI(人工知能)が主人公の切ないラブストーリーでとても感動したものです。今でもその頃のパソコンや情景が思い出されます。こんな風に今でも当時を思い出すのはこれがただのデジタルデーターではなく、こうしてモノとして残っていることが大きいと思います。このフロッピーマガジンは当時、幕張メッセで行われたマックエキスポに出品しました。その会場や制作中(手仕事)の光景なども、まざまざと思い出します。

紙のフリーペーパー、プラスティックのフロッピー、ポリ塩化ビニールのレコード、みんな嵩張り保管も面倒なモノばかり。でもそれらは、その手触りや匂いで瞬時にその時を思い出させる瞬間記憶回復装置です。

ダフトパンクがこの前のcinraのインタビュー記事で言っていた『「メモリー」は「データ / 情報」であり、「メモリーズ」は同じ言葉でも「感情」がこもる。』はまさにこれから色んなモノやコトが人からコンピューターやロボットに代替される世界で強いメッセージだと思います。

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このブログもただの最小バイトのテキストデーターであり、ビッグデーターと言う大海原の一滴で、深海の底に埋もれて行きます(でも誰でも簡単に再度見つけることが出来るものでも、ありますが)。過去のモノとしての紙やレコードなどはそこにある限り、内容のみならず外側の情報の器も含めることで、その人だけのとても個人的で特別なメモリー「記憶」になります。

音楽は最たるものですが、モノでも肌触りや匂い、重さがあって初めてその時を思い出させるってこともありますよね。
しかしモノからコトへ重心が移ってる昨今、それらの感覚や感情さえメモリーにインプットされ、技術的にも体感出来る時代がすぐそこまで来てるのかもしれません。
ただ、その時に差し出されるメモリーズ(思い出)はやはり同じではないような気がします(まあ、そう思いたいのかもしれません)。

まさに『メモリーズ』〜「彼女の思い出」の世界ですね。

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text by Akira Aratake / next33

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