Shop33とその後の物語 第六回 Julius Vol.2

2019年7月28日 12:00

前回に引き続き、Juliusのインタビューの様子をお届け致します。Vol.1はこちら


◆音楽

堀川 荒武さんは音楽はまだ掘ってるんですか?

荒武 いやー、もう全然ですね。今は月額の定額サービスがあるじゃないですか。だからああいうので垂れ流しじゃないけど、そういうので満足しちゃってるかな。だから受け身になっちゃってるよね。

堀川 でも俺もあれですよ、基本。昔って音楽掘るのって大変だったじゃないですか?今は楽だし、楽しくてしょうがないですね。映画も見ないんで、唯一の趣味(笑)。ちょっと時間があれば掘ってますね。でも掘るって言ってもピコピコやるだけなんですけど(笑)。レコード屋に行く必要もないし。音楽的にはすごくいい時代だなとは思うんですよね。テープでしか出てない音源とか、バンドキャンプですぐ買えちゃうんですよ。昔って音楽知るってすごい大変だったじゃないですか。テクニーク行って、それこそ33行って。



荒武 当時は到達するっていう楽しみってのはあったんだけどね。今はすぐにたどり着けるから、その楽しみは少ないんだろうけど、その反面色々と知りやすいっていう楽しみはあるよね。

堀川 そう。だから音楽好きな若い子がすごい増えた気がしてて。若い子たちと話しててもすごい詳しいし。昔は音楽が好きっていうより遊びに行くのが好きってやつが多かった気がするんですよね。そういう意味で文化的にもいい時代になってると思いますね。90年代はとにかく遊び散らかしましたよね(笑)。一緒にレイブも行きましたよね?

荒武 行ったっけ(笑)?

堀川 確かREE.Kのパーティーかなー。久しぶりのトランスだなーって荒武さん嬉しそうでしたよ(笑)。

荒武 そんなこともあったねー(笑)。

DSC_1511.jpgのサムネール画像

堀川 90年代って日本のテクノってすごかったじゃないですか。風営法的にも。それで世界中のアーティストが来て、日本が聖地みたいな感じになってたじゃないですか。それからはベルリンに移って、ロンドンにもちょこっと戻ったり、またベルリンに移ってって感じになって。それで俺もベルリンに遊びに行くんですよ。そのベルリンも値段が上がっちゃってアーティストが住めない。だから今度はポーランドとかジョージア(旧呼称:グルジア)に聖地が移りかけてるんですよね。だから楽しいところって、場所は移るけど内容はあんまり変わってないような気がするんですよね。

荒武 ジョージアいいですよって卓球さんも言ってました。

堀川 俺はまだ行ったことないんですけどね。今年は行こうと思ってるんですけど。一緒に行きましょう(笑)。


◆海外と日本



荒武 遊びに行くのは基本ベルリン?

堀川 そうですねー。

荒武 ベルリンには商品卸してたりしてないの?

堀川 前は結構あったんですけど、今はないんですよね。

清水 一件あるんですけど、そんなに太くはやってないですね。

堀川 ベルリンだとベルクハインっていうクラブがあって、昔のマニアックラブみたいなんですけど、100倍でかいハコで。

荒武 今でもテクノが流行ってるんだ。

堀川 そうですねー。ゴリゴリですね(笑)。

荒武 やっぱりそれはEDMとは違う感じ?

堀川 いや、もう全然違いますね。ゴリゴリです(笑)。やっぱり音楽に対する線が全然違うっていうか、国民音楽としてテクノがあるみたいな。タクシーの運ちゃんとか普通にCANとか聞くんですよ。それで坂本龍一の国から来たんだろ?って言われたり。根付いてるというか、本当に国民音楽ですよね。ベルリンだけかもしれないですけどね。

荒武 そうだよね。昔からドイツって歌謡曲のようにテクノが流れてるよね。

堀川 なんか演歌みたいな感じなんだなーと思いますね。

荒武 イギリスだと少し違うもんね。

堀川 そうですね。イギリスに行ったら行ったで、グライムがリアルに感じるとかそれはそれでいいなって感じるんですけどね。



荒武 最近も行ってるんですか?

堀川 行ってますね。ここ半年は行けてないですけど、その前の2年位はひどかったんですよ、遊び歩いて(笑)。

荒武 年に1,2回くらいですか?

堀川 去年は8回ぐらい行きました(笑)。

荒武 それは主にベルリン?

堀川 そうですねー。ちょっと疲れてくると落ち着こうってことで(笑)。でもブランド的にも落ち着かないとなーってところで。

荒武 ブランドとしてはマーケットはどこに重心をおいてるんですか?

堀川 どうですかねー。やっぱり大きいのは中国ですね。



清水 日本の中でもお客さんの多くが中国の方だったりするんですよ。例えば伊勢丹で売れてる中でも3〜4割は中国の方だったりとか。だから伊勢丹で買ってるバイヤーも、中国の人の分も買ってるというか。20年前だったら日本人のために日本人のバイヤーが来て買ってたわけじゃないですか。でもその比率が変わっちゃって。日本の中でも中国の分があるというか。



荒武 上海と香港にお店があるんだよね?

清水 あれはフランチャイズですね。

荒武 じゃあ東京含めてその3店がお店の中では比率が大きいだね。

堀川 もう中国に足向けて寝れない(笑)。

荒武 やっぱり中国は今羽振りがいいですか?

堀川 昔の日本のように、カルチャーに貪欲ですよね。やっぱり今までなかったから。だからダサいって感じはなくって洗練されてますね。街歩いてても下品な中国の人ってあんまりいないですよね。



荒武 でも洗練のスピードが早いよね。もう日本は追い越されつつあるというか。

堀川 そうなんですよね。このままだとヤバイ気もしますよね。



清水 中国から伊勢丹とか買いに来るに顧客がいるんですよ。だから向こうも顔はわかってるし、その方の買うものとか好きなものもうちのスタッフがわかってたりして、それくらいこっちに買いに来てくれるんですよね。

堀川 中国はアーティストも結構増えてきてて、テクノシーンもかなり広いんですよ。俺はドップリ行ったことはないんですけど、かなりアンダーグラウンドな人がいて、かなりシーンがあると思うんですよね。上海とか韓国はめちゃくちゃおもしろいって聞きますね。いつか行ってみたいなー。90年代の日本みたいになりつつあるのかもしれないですね。




◆信念

荒武 でもやっぱり、NU/KEからJuliusに変わった頃の2,3年の動きって刺激的でしたよね。スケボーキングのSHIGEOくんとか、メディアにガーッと露出し始めた時期だったじゃない?あの辺りから一気に5速に入って進んでいった印象が強いよね。今も言ってると思うんだけど、その頃に言ってたコンセプトがあったじゃない?

堀川 最初がJulius自体がArt Projectって言ってて、インスタレーションやったりメディアアートっぽいことをやってましたね。そんなのもあったんだけど、服だけでって言って切り替えたんですよ。

清水 そうだね。それからちょっとして東コレやったりして。でも一回しかやらなかったね(笑)。



堀川 なんかあんまり面白くねーなと思って(笑)。

荒武 傍から見ててもあの1,2年はすごいスピード感だったよね。

清水 それまではそういうことが出来なかったっちゃ出来なかったんですよね(笑)。スタイリストとかを知らなかったり、フロントマンもいなかったりして。

荒武 形ができて、スタッフも増えて、丁度恵比寿のお店が出来てからだもんね。

堀川 そうですね。でも恵比寿のお店は元々NU/KEでやってたんで少し前かもしれないですね。NU/KEでやってた頃は店舗兼事務所だったから色んな人が出入りしてて。

清水 もうちょっとしたら戻そうかっていう話も出てて。アトリエとお店が一緒っていうのはやっぱりいいじゃないですか。今は結構離れちゃってるから。誰かがお店に来ても直接知ってる人がいないっていうのも…。



堀川 やっぱりそういうのは商売商売になっちゃうと面白くないですし。

荒武 でもあっという間に20年って感じですよね。ファッション業界とかで、クリエイター含めてなんだかんだやり続けてる人はたくさんいるんですけど、ここまで突き抜けて信念変わらずやり続けてるJuliusってすごいよね。

堀川 Nendoとかってどうしてるんですか?

荒武 Nendoでは活動してないですけど、それぞれ活躍してますね。草野さんは今でもグラフィックやってますし、児玉くんと同じ感じでゲームとかアニメのビジュアル作ったりしてるみたいですね。



------
Photographed by Kei Murata

Vol.3はこちら

next thirty three

next33スタッフがshopの最新情報、Gio-Goiや国内のインディースブランドの歴史や関連する音楽、アート、 各アイテムのディテールから、あんまり関係のない映画や本の紹介などを、ゆるーく語ります。
33のTwitterアカウントはこちら
http://twitter.com/33online
pagetop