Shop33とその後の物語 第六回 Julius Vol.5

2019年8月18日 12:00

Juliusインタビューの最終回をお届け致します。Vol.4はこちら

◆今の仕事との向き合い方

清水 めちゃめちゃ嬉しかったのは、33に委託をお願いして初めて置いた初日から4枚くらい売れたんですよ。33のお客さんが理解してくれたんですよね。それで33の土本さんに何が売れたか毎日レポートくださいって言ったんですけど、「それは出来ません」って断られて(笑)。でも週イチくらいではもらってて。嬉しかったですよ。

荒武 ちなみに、その当時の若い時と今って仕事の仕方って変わりました?



堀川 要領が良くなりましたね。だからいっぱい仕事しちゃって忙しくなって、っていう負のサイクルに入って。

清水 それって要領良くないじゃん(笑)。

堀川 ものは使えるけど要領は悪い(笑)。

荒武 モチベーションは?

堀川 モチベーションは昔のほうが高いかな。今はこれやったらどうなるんだろうとか、

実験?もうちょっとクールな感じですけど。

荒武 以前児玉くんと話したときに、児玉くんは年齢とともに責任が出てきてって話をしてたんだけど、そのへんはどう?

堀川 それはないです。

清水 責任を請け負うのは古平くんなんで(笑)。うちには攻めるタイプと守るタイプが居るんで。

堀川 俺が守ると会社が潰れちゃうんで。あんまり考えすぎちゃうと面白くなくなっちゃうんですよね。俺は割り切ってやってるんで。全部自分でやってたらもっと会社ちっちゃかったんだろうなーって。



清水 児玉くんって会社一人で見てるんでしょ?何十人も一人で見てるってすごいよね。

児玉 いやいや、グループ全体で25人くらいだからまだ少数精鋭の規模感だし、役員メンバーや現場のみんなが協力してくれてるから。最近は異業種のクリエイターやプログラマー、エンジニアのチームがうちのオフィスでシェアを始めたりして、異業種との共創とかをすごく考えてるかな。

堀川 よくわからないけど、作品を作らないと。芯なることをやってほしい!そうすると俺らが安心(笑)。

児玉 そうだね。これからの10年はチームで戦うやり方でどこまで行けるかチャレンジしようと思ってる。

堀川 日本のシーンのためにも、もう一回才能をフックアップするようなことを俺はしてほしいなー。アイドルでもいいんだよ。それこそ地下アイドルでもいいし。シンボルがほしい。

児玉 個の力じゃないんだよね、今は。

堀川 誰かいればいいの?じゃあ俺手伝うし。

児玉 マジすか、先生(笑)?先生みたいな本物の尖った人と一緒にできたらヤバイことできそうだよね(笑)。いろんな多彩な人たちが集まって何かできたら面白いよね。

堀川 地下アイドル(笑)。

清水 地下アイドル×ステロタイプ×NILøSなんだ(笑)。

児玉 地下アイドルかどうかはわかんないけど、そんなイメージ(笑)。

清水 うちでは今は 古平くんがその蓋を開けて、達郎がそれを認めたんですよ。NILøSだったらやろうよみたいな。前はなかったもんね。達郎がNOって言えば全部NOだった会社だったんだけど。

児玉 先生、めちゃくちゃ優しくなったじゃないですか(笑)。昔は虎とかライオンだったのに、今はコアラくらいに見えますけど(笑)。




◆出会い、関係性

荒武 今日は色々と僕も知らない二人の話も聞けてよかったですよ。

加藤 二人の関係性で言うと、クリエイションでここはお金使います、これやりますってなって盛り上がっても、最終的に社長も含めて全員が「清水さん、これかかるけど大丈夫?」って聞くんですよね。堀川さんがパリで病気になって緊急帰国ってなったんですよ。清水さんが「あいつのためになんでもしてあげていいから」ってGOサインが出たのは。



加藤 その時は清水さんは何も言わず、そっちで使える金はいちいち確認しなくていいからってグリーンライトが出て。その時ぐらいですよ。それ以外は本当にきちんと見てくれるので。そのくらいちゃんとしてますよね。僕もアパレル3社目くらいなんですけど、ここまでちゃんとしてる会社ってなかなかないなって思いますね。

荒武 ずっと二人の信頼関係がすごいですよね。今改めて見ても関係性がしっかりしてるなって思いますよ。

児玉 いやー、本当に不思議な不思議な二人なんですよ。

堀川 こいつは俺の地元に後から引っ越してきてたんですよね。



清水 小学校2年生くらいの頃に引っ越して、転入生だからちょっとビビってたんですよ。それで学校が終わった後に、うちの向かいにこいつがいたんですよ。同じクラスのやつだなって思ったときに、俺は日和って亀を持ってったんですよ。亀を持ってったら話題になって仲良く慣れるかなと思って(笑)。そしたらこいつともう一人友達がいて、そいつも同じクラスのやつだってのはわかってたんですけど、あんまり亀に反応しなくて(笑)。それから入ってったっていう記憶はあります(笑)。

堀川 ポカーンって(笑)。「亀飼ってるんだよよろしくねー」って来て(笑)。

清水 「すごいね、亀飼ってんじゃん!」って話題になると思ったんだけど(笑)。

堀川 うちのオカンもポカーンとしてた(笑)。

児玉 NU/KEとASYURAってコンビの生い立ちも似てて。うちも小学校からの同級生なんですよ。

清水 どっちかが引っ越してきたとかもあるの?

児玉 俺が山田のいた小学校に引っ越してきて、いつからか山田とつるむようになってた。そうそう、上井草にウチのグループ会社の美術スタジオがあるんだけど、そこの代表も高校の同級生なの。

清水 あ、そうなの?じゃあ4人いるんだ。

児玉 そうそう。二人って普段仕事以外で喋る?

堀川 たまに。



児玉 わかるなぁ、俺らもそうだったもん。例えばラスベガスに行った時もずっと一緒にいるのに全然しゃべらない。二人もそんな感じ?

清水 そうだね、全然しゃべらない(笑)。

堀川 でもそんなもんじゃない?嫁ともしゃべらないでしょ。

児玉 二人見てると山田との時間を思い出してね。幼馴染で仕事のパートナーともなると必要以上に喋らなくても通じ合えるみたいな感じになるもんね。

加藤 俺は逆に喋ってる方だと思いますけどね。作ってるときも、「テルちゃん」って呼んでたりもするし。

堀川 俺はなるべく誰とでもやろうとしてるんだよね(笑)。

清水 逆じゃない?俺からはないかもしれないけど。

加藤 だって清水さんが呼ぶときって何か問題があるときだから(笑)。

清水 それも良くないんだけど(笑)。でも間に古平くんとか加藤が居てくれるから。

堀川 加藤はそのためにいてもらってるようなもんだから(笑)。

清水 今日だって加藤が居なかったら成り立ってないもん。

加藤 いつもは取材とか入ると嫌とは言うんですけど、今日は珍しく清水が動いてセッティングして。

清水 荒武さんから声がかかったから。それがなかったら無理です(笑)。

加藤 吉祥寺に行ったほうがいいんじゃないって話してたんですよね。

堀川 行く体でさ、昨日リサーチに吉祥寺行って、行きたい店をブックマークしてたんだよね(笑)。

荒武 いやいや、本当にありがとうございました。改めて吉祥寺にもお越しください(笑)。そしたらそれこそ森本さんとかにも声かけられますので。

清水 森本さんといえば、麻雀で裸単騎でドラ待ちするのを覚えてて。ああいう性格なんですね、下品なことをするっていう(笑)。荒武さんがそれを封じ込んだときに、「森本さんはよくやるんだよね」って言ってたのを思い出しますね(笑)。

荒武 吉祥寺ってもう行かないでしょ?

清水 行かないですねー。

堀川 昨日行きました(笑)。いや、荒武さんがこっちに来てくれるとは思ってなくて行きたいところをまとめとこうと思って(笑)。

荒武 そうかー、昨日来てたんですね(笑)。でも吉祥寺もだいぶ変わりましたからねー。駅を出たところのはハモニカ横丁が戦後のドヤ街みたいになってて、唯一あそこが香りが残ってる感じで、ほかは当時とは変わりましたよね。ちっちゃいお店はどんどん外に出ちゃってるからねー。

堀川 なんかキナ臭いファンシーさに汚染されてますよね(笑)。


◆戦友



清水 33で印象に残ってるブランドっていくつかありますか?

荒武 やっぱりNU/KEとASYURA、Nendoの3本柱が印象に強いですね。

堀川 児玉くんとの対談のブログ見てても、そこはベースというか基礎が他とは違ったって言ってくれてましたもんね。

荒武 何かしら、そことの仕事が印象深かったですからね。

児玉 33の中でもなんとなくカテゴリーがあったじゃないですか?うちとNU/KEはベッタリだったからなんとなくそういう括りだったように思うし、NendoやLEVEL1もあったし、TARもあったし。でも不思議とマブダチになれたのはNU/KEでしたね。

堀川 憧れてましたけどね(笑)。

児玉 何言ってんすか(笑)。でもそんな先生がうちの事務所に来てくれて、「一緒にやろうよ」って。

清水 それで結局なにかやったの?

児玉 それがN/A展開ですよ。「ASYURAもフルアイテム作ろうよ」って言ってくれたのも先生でしたから。ソロで来て。

堀川 てるおは来なかったの?

児玉 その時はね。でも昔のN/A33の対談記事読むと、その前にウチの山田と堀川くんは大げんかしてるらしいんですけど、インディーズがどうのこうのって話で(笑)。

堀川 あっ!村上さんの仕事でテンパってたとき?

児玉 もっと後だったと思うけど。

堀川 6畳4畳(の部屋のとき)?

児玉 そうそう。

堀川 覚えてる覚えてる。村上さんの仕事しててさ、怒られてなかった?

児玉 村上さんに?

堀川 うん。NU/KEに負けちゃうぞとか言われてたよね(笑)。

児玉 もうこの話完全にN/Aのネタになってるんだけどね(笑)。村上さんと攻殻の仕事をやってた時に、会うたびに「児玉くん、サードストーンってまた新しいのが出てきましたね」ってニヤニヤしながら煽ってくるの(笑)。その次あった時には「サードストーンじょうほう!」とか言って、完全に俺らの引きつる顔を見て楽しんでたもんね(笑)。その後たまたま33に行ったら、土本さんに「サードストーンって言うんですけど、めちゃくちゃ売れてますよ」ってとどめ刺されて。センターテーブルにサードストーンのTシャツがドーンと置いてあって(笑)。

清水 センターテーブルの取り合いあったよねー。

堀川 児玉くんにもあったんなら良かった。俺はあったから。最初は俺はキリキリしてたからね。あいつら食ってやろうって(笑)。それこそ一緒にやろうって前だけど。

清水 そもそも、(ステロタイプを)世の中もわからないオタク野郎がぐらいに思ってたじゃない。山田くん含めてこんなバカでかいやつだとは思ってもなかった(笑)。

児玉 ひどいでしょ。この人達(笑)。初めはこんな感じで偏見の目で見られてたんですよ(笑)。

堀川 いつ最初に会ったんだっけ?

児玉 レインボー2000らしいよ。お互いに会ったことはないけどブランドのことは知ってたから、周りからサードストーンが来てるらしいとかASYURAが来てるらしいって話が回ってきて。それで清水くんと山田が会ったんだよね。それでお互いに相棒を連れてくるって話になって4人が出会うというストーリーだったような...。その時のこと俺はあんまり覚えてないんだけどね。



清水 意識はしてた訳じゃん、ASYURAに。

堀川 めちゃくちゃしてたよ。

加藤 その時はうまくハモったんですか?

堀川 知らないから、あいつら食ってやろうぐらい(笑)。

清水 でも山田くんに対しての高感度はめちゃくちゃ高くて。デザイナーっぽくなくて、こっち(堀川)みたいにカミツキガメみたいじゃなかったのよ。

堀川 山田くんもカミツキガメだったよね(笑)?

清水 いやいや、山田くんは可愛かった。

児玉 コアラとマングースぐらいの差はあった(笑)。

清水 山田くんの方が柔らかかったよ。その後達郎を紹介したのかどうか忘れちゃったけど、すぐ仲良くなったじゃん。

堀川 まあでもそこからだよね。

荒武 でも村上さんは煽ってたんでしょ(笑)?

児玉 煽られましたねー。「買っちゃいました、サードストーンTシャツ」とか(笑)。

清水 お互いTシャツが武器だったから、俺達の勝負をおちょくってたよね(笑)。

荒武 お互いに村上さんっていうところもキーワードですよね。

児玉 ウチにとっては本当に大きな存在ですね。

清水 当時、村上さんも3800円くらいでTシャツ売ってましたよね。今だったら一桁、二桁違うんだろうけど。

堀川 あー、あったあった!あの人やっぱりぶれてないんだね(笑)。でも今見ても攻殻機動隊のポスターとかかっこいいもんね。すごいよねー。あのポスターのデザインが凄まじいなって。

清水 デザイナーとして思うことはあるの?

堀川 焦る。あの時の焦った感じを思い出した。



清水 はー、やっぱりあるんだね。山田くんのベクトルみたいなのがあるんだ。こっちは造り手じゃないからわかんないんだよね。山田くんは本当に面白かったからね。ノート取るのも、普通のノートじゃなくてスケッチブックでメモとるんだよね。「わかるわー、わかるわー」って言いながらA3くらいのバカでかいやつでメモってるんだよね。何かすげーなって思ったよね。

児玉 山田が亡くなった時に、堀川くんから追悼文を頂いたんですよ。いい文章だったよねー。俺未だに覚えてるもん。キーワードをパンパンパンって並べてるんだけど、すごく言い得ててね。本当にありがとう。
※当時の記事 http://next33.com/fp/200410-2.shtml


◆shop33とその後の物語


児玉 荒武さん、何か我々に出来ることってないんですか?せっかくN/A33が集まったんですから。そういうのあり?

堀川 全然ありだね。我々も提案しようよ。

児玉 おっ、いいねー。

堀川 とりあえず一緒にドイツ行きましょう(笑)。

荒武 いやいや、本当にありがたいですよ。是非いろいろと協力していただきたいです。こうしてまたお会いできて色んな話も出来たので、きっと交差することがあれば面白いかなと思ってます。この先にお願いしたいこともたくさんあるので、そのときはぜひよろしくお願いします。

児玉 例えばなんですけど、期間限定でshop33を復活させて、NU/KEとか ASYURAとかNendoとか、当時の商品を出すとかってどうなんだろう?

堀川 それだけだとつまんないけど、プラスアルファがあれば絶対楽しいんじゃない?カルチャーごと紹介するなにかとか。それこそ森本さんに書き起こしてもらったり、Wipeoutをもう一回やったり。面白くしましょう。更新してる何かがアレば、それはみんなOKだと思います。

児玉 これからの若い人たちにも知って貰いたいよね。

堀川 後は、このブログで昔の人達どんどん掘ってったほうがいいですよ。

清水 いやー、でも今回このブログの話が来たのが早くて嬉しかったですよ。ステロきて、その後すぐうちに来たから。

荒武 いやいや。だってJuliusはうちにとっても大きいブランドでしたので、それは真っ先にやりたと思ってましたから。

児玉 でも今回はJuliusチームにとっても、ブランド原点的な話も聞けて良かったんじゃないですか?

加藤 知らないことが多すぎて、単純に面白いなって思いました。こんなことだったんだなとか、こんなことがあったんだなとか。

清水 話したこともないし、思い出すこともなかったからね。

児玉 Juliusの社員の子たちもパリコレからしか知らない子もいるでしょ。

堀川 洋服屋だと思ってるからね。洋服屋じゃねーぞ(笑)!

清水 スタートはTシャツ屋ですから。

児玉 お互いそこが原点だからね。

DSC_1649.jpgのサムネール画像


-編集後記-
20年近く会ってなくても、今でも聴いている音楽や洋服のスタイルはブランド開始直後と殆ど変わってないことにすごく感銘をうけました(本音を言うと安心もしました )。新しく訪れたオフィス兼ストックルームも、かつて訪れたオフィスとは比べ物にならないほどの大きさとストック量でスタッフも増え、時の推移と共に改めて勢いを感じました。

数型のTシャツをshop33のような小さなお店から売り始めて、JuliusもASYURAも現在の立ち位置にいることの必然性が最後の各々の言葉から染み染みと思わせる良い対談になりました。途中から参加して内容を更に深いものにしてくれたJuliusの加藤氏、ステロタイプの児玉氏にも大変感謝しています。今後何かコラボレーションをして行けることが出来れば、お互いもっと予想以上のものが産まれるかもしれないと思いました。
(Akira Aratake)

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Photographed by Kei Murata

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