shop33とその後の物語 第七回 佐藤大 Vol.3

2019年11月24日 12:00

ここからは近所の居酒屋に場所を変え、ゲストにも加わってもらいました。前のVol,2でもその名前が出ていましたが、当時のスタッフだったミーゴさんです。shop33の中で彼女は主に企画広報、フリーペーパーの制作を担当して、無くてはならない存在でした。また彼女と大ちゃんの繋がりは33より前からで、33との共同企画でも一番深く関わっていました。当時から今現在に至るまで、昔の懐かしくてレアな写真と共により幅広く、より突っ込んだ話が聞けました。では3週に渡って続く後半をどうぞ!

前回Vol.2はこちら

DSC_2330.jpgのサムネール画像

佐藤 久しぶりだねー。

ミーゴ ほんと久しぶりだね。大ちゃんと最初に会ったのってなんだっけ?TGNG?

佐藤 あれ、「トワイライトゾーン」とかじゃなかったっけ?

ミーゴ そんなクラブで自然に会った感じだっけ?昔、原宿の地下でTGNGやってて…

佐藤 あー、やってた原宿の「ULTRAGOOD」だ。まりんとか田尻(田尻智)さんがいて。

ミーゴ そうそう、田尻さん。そこで私が邦ちゃんとDJやったときじゃないかな

佐藤 それかー。でも、それは初めて話をしたときだね。僕はその前から何となくは知ってたから。まあまあ、そんなぼやっとした感じで…



ミーゴ 本当に最初に会ったときとか全然思い出せなくって

佐藤 あの頃って人にすげーいろんな人と一気に会ってたから

荒武 みんないつの間にか知り合ってたよね。

ミーゴ 遊びに行く場所が少ないから、行けばいつもいる人と自然と話すようになってすんなり友達になれちゃうみたいな


佐藤 だいたい土日にクラブに行って、ほんと元気だった。

ミーゴ レイブ行って朝まで遊んで代々木公園でちょっと寝て帰るっていう

佐藤 そうそう、そういうのが日常だったね。


◆shop33フリーペーパー裏話



ミーゴ 33でフリーペーパーを作ることになった時、最初の号は大ちゃんとTARの関くんのインタビューを載せようって決めてたんです。2人は不思議と相反するものがあって。だからあえて2人のインタビューを紙面に並べてみようって。その後も、LOUDとele-kingを同じ号に載せるとかわざとやってました。




※98年6月号のフリーペーパー

荒武 そうだったの?


ミーゴ そうだったんですよ(笑)ちょっとこの2誌だとあからさまかなと思って、間取り通信っていうほのぼの系のフリーペーパーのインタビューも間に入れたりして(笑)。ele-kingとLOUDもライバルっぽい感じだったもんね。今は全然そういうのないけど

佐藤 小さい世界だったのが、更に小さい世界になったからより平和になったね。俺もその後関くんたちみんなと仲良くなったから、ミーゴちゃんがいたおかげなんだなって、改めて。ハブみたいな感じ。





※94年9月号のフリーペーパー

ミーゴ ジャンルとかあまりわからなくて気にしてなかったから

荒武 ボーダレスにいろいろと渡り歩いてたよね。

ミーゴ 八方美人的な感じ(笑)

佐藤 そういうハブとして33はあったなって気はしてて。なんか作ったらおいてくれるじゃない。今だったら絶対ダメな、コピーしたやつをおいてくれたり(笑)。




◆フロッピーマガジン その2

佐藤 あと33では3.5インチディスクのフロッピーマガジンもやってたじゃない。

ミーゴ それって結構経ってからだよね?

佐藤 結構経ってからだね。「ウォータードロップス」は閉めてフロッグマンをやってて。それでTGNGはハニーくんたちに譲って、今までのTGNGのことを全部まとめるディスクを作ろうってことで「TGNG集」みたいな感じで出したんです。



荒武 TGNGって譲ったんだ。

佐藤 そうそう。針生くんとかハニーくんとかに譲ったんですよ。

ミーゴ 確か一番最初に出したフロッピーマガジンって、関くんの写真と大ちゃんの小説を入れてマガジンっぽい感じにしてたよね。もともと中ザワヒデキさんがやってたのをうちもやろうって感じで。ヒップホップの影響でなんでも首から下げたくて、あ、いいところに穴空いてる、チェーン入れられるって気づいて(笑)

佐藤 アクセサリーだ、「ACCESS - “A・R・Y”(アクセスアーリー)」だって言って(笑)。

ミーゴ 大ちゃんのそういうところがすごかった。ダジャレなんだけど必然にもっていく(笑)

佐藤 ダジャレが好きだったから(笑)。盛り上がったよね。

ミーゴ 私はもともとヒップホップが好きで、韻を踏むのもダジャレも大好きで。そういうのが洗練された感じだよね、大ちゃんは(笑)

木原 ちなみに、フロッピーの企画って大さんが33に話を持ち込んでるんですか?それとも33主導で話が持ち上がってる中で大さんが参画していった感じなんですか?

佐藤 いやいや。俺はなんでその頃そんなことを言っていたのだろうか。

ミーゴ 大ちゃんどういうきっかけで33と深く関わったんだろう?



佐藤 最初にインタビューした頃はそんなに関わってないよね?

ミーゴ 関わってなかった。服を先においてたんじゃない?

荒武 フロッピーに関してはプロジェクトとしてやったんじゃなかったかな。

佐藤 中ザワ(中ザワヒデキ)さんのやつとか、モップとかフロッピーマガジンが沢山あったんだよね。あとは蜂谷さんのやつとか。それが33においてあったりして、『これ自分たちでもやったら面白そうだよね』って言うのを、多分クラブの帰りとかに公園で何かに入り込んだかのように喋ってるんだよね、きっと。

ミーゴ なんかもっと雑誌っぽいのをやろうって話になって。

佐藤 そうだ、それで小説書くって言ったんだ。

ミーゴ だから大ちゃん発信なんだよフロッピーマガジンをやろうって言ったのは

荒武 あとはMacワールドっていうイベントがあったんですよ。それに出品しようっていうのもあったと思う。



みーご そうだ、そうですよ、きっと!

佐藤 そうそう、俺も売りに行ったもん。それで当日行ったら、なんか(二人が)どっか行くって言っていなくなっちゃって、俺ブースに残されて売ってたもん(笑)。なんかその辺の断片の記憶がある。

ミーゴ DJブース作って、そこでYO-Cに回してもらったり。そうだ、そのイベントのために作ったんだと思う。フロッピーマガジンはプログラミングもすごい大変でしたよね

荒武 Macの最初のプログラムソフトでやってもらってね。

ミーゴ 素材を入れて、見やすくするのがすごい大変で。重くてすぐ止まっちゃって

佐藤 圧縮してね。その上、一枚一枚コピーして、シール貼って。

ミーゴ 首から下げるのにボールチェーンくっつけて、めちゃめちゃ手作り。下町の工場に荒武さんとラベルのシールを作りに行って



荒武 あれ。そうだったけ?

ミーゴ そうですよ。場所は忘れちゃいましたけど、100枚とか少数で作ってくれるところがあって。色校とか出さないからまた微妙に色が変わったりするんだけど、それも味かなみたいなゆるい感じでした(笑)

佐藤 だって、ディスクも最初色が決まってたじゃん。これは白とか、TGNGは黒にしようとか。足りなくなったら、なんでもいいやってなってきて(笑)。


◆クラブ黎明期

ミーゴ トワイライトゾーンに行くまではクラブで遊んでないよね?

佐藤 そう。俺だって初クラブだもん、「トワイライトゾーン」が。楽しかったなー。新橋のクラブだよね。スクワットしてるんだよね、カフェかレストランみたいなところを勝手に使って。

ミーゴ 小さいフライヤーが配られて、そこに電話番号が書いてあって電話して場所を聞くんだよね

佐藤 電話するとテープかなにかで自動音声が流れてて、それで聞いた場所に行くとクラブがあるっていう。イギリスでそういうクラブがあったじゃないですか。「トワイライトゾーン」もイギリス人がやってたんですよね。

ミーゴ だから毎週場所が違くって。

佐藤 それでR1っていうすごいDJがいて、誰も見たことがないレコードをかけてるってなって。

ミーゴ HardfoolrもR1がかけてたので初めて聴いて衝撃で、そのまま朝まで渋谷にいてWAVEにCDを買いに行きました



佐藤 俺もそこでSven Vathとか、IQ Recordsとか、The Age of Loveとか初めて聴いて凄いハマって。トランスに。それでトビーちゃんに会うんだよね、どこかのタイミングで。そういう感じでした。

荒武 俺はトビーちゃんとはドイツで会ったのが初めてだったなー。SABOTAGE(の店舗)で。

ミーゴ 大ちゃんSABOTAGEよく着てたよね。

佐藤 着てた、それこそ「鉄人17号」をまんまプリントしたやつとか(笑)。SABOTAGEは、いわゆるハイファッションになる前にちょっとストリートっぽい時期があったんです。その時はまだそんなに高くなくて、ベルリンの「ハードワックス」とかレコード屋さんでも売ってたんですよ。蓄光とか反射板のTシャツとかで、凄いかっこよくて。

ミーゴ 電灯が仕込んであって、自分でスイッチ入れるみたいなベスト着てた

佐藤 つけるとビューって光ってね。今考えると工事現場のおじさんみたいな(笑)。

荒武 その時代って海外のブランドもいろいろあったんですよね。LIQUID SKYとか。

佐藤 NYのLIQUID SKYも懐かしー。その頃、LIQUID SKYのデザイナーのゲイブとはすごい仲良くなって、2000年代に入ってアニメのコンベンションでNYでトークショーをやったときに、遊びに来てくれたんだよ。

荒武 日本のインディーズだけじゃなくて、海外のそういったブランドも同時に知れたから面白かったですよね。

佐藤 あの頃はアホみたいに洋服に金使ってたなー。もう今は完全にユニクロ(笑)。

ミーゴ でもユニクロもなかなかよかったりするからねー(笑)


◆インターネットの影響



ミーゴ 当時っていいと思ったら何でも着てたし、合わせにくいとか恥ずかしいとか全然なかったから、みんな自由だった。若さゆえだったのかな(笑)


佐藤 あれは景気が良かったからなのかな。それできっとサブカルチャーみたいなところにも流れてきたってことなんだろうね。

荒武 33やってて思ったのが、店舗があった頃のうちのお客さんってロストジェネレーションなんですよ。だからだんだん景気悪化の煽りも受けていって、洋服とかにお金をあんまり使わなくなっていったんですよね。だからハイファッションとファストファッションと2極化していってるとは思うんですけど。



ミーゴ そうですね。当時は数がとにかく少なかった。売り切れたら二度と買え ない。その頃は情報がないから。今買わなきゃって言う気持ちにはなるよね

佐藤 TARと藤原ヒロシさんのダブルコラボのTシャツとか買うのすげー大変だったもん。

荒武 あの頃は洋服が表現というか、自分がどういう場所にいるか、何が好きかっていうのをアピールするものだったからね。

佐藤 そうそう。それで会話ができるじゃないですか。そのTシャツかっこいいとか。

荒武 今はそれではわからないもんね。見た目で何が好きとか、どういう音楽が好きとか、そういう映画が好きかとか、そういった意味付けがなくなってきてるよね。

ミーゴ 今まで見たことがない服っていうのが(当時)本当に多かった。Tシャツでもそんなの見たことがない、どこにも売ってないっていう感動が見るたびにあって。やっぱりネットがなかったってのが大きかったのかなー

荒武 そうですねー。あの当時はネットなんて考えてないですからね。でも大ちゃんがフリーペーパーに、「ネットが僕らの遊び場、秘密基地だったのに、商売にするんじゃねーよ」って走り書きみたいに声明文っぽいのを書いたじゃないですか。かっこいいなーと思ってものすごく覚えてる。



佐藤 そうなんですよ。あの頃ねー、インターネットで世界は変わると思ったし。

荒武 でも実際変わったわけだよね。

佐藤 全く違う方向に変わった!本当にびっくりするくらい。こんなに荒んだ世界になるとは思わなかったですよ(笑)。世界がつながったらハッピーになるんだと思ってた。

荒武 そうだよね(笑)。グローバルビレッジというか、そういう感じになると思ってたら全然そうじゃなくて、商業主義だったりある種クローズドだったり。

佐藤 あとはヘイトスピーチだらけ。

ミーゴ 2chみたいなのが出来たからじゃないの?

佐藤 2chみたいなのも、2chみたいであればよかったんだけど、まさかこんなヘイトな意味でSNSの影響力が強い世界になっちゃう?みたいな。

荒武 ほんとSNSが出来てからだよね。だから寸前くらいに大ちゃんがそういうのを書いたんだよね。

佐藤 信じてたんだよね、ハッピーな世界になるのを。だから今なるべくヘイトなネットから離脱しようとしてる自分がいる(笑)。



ミーゴ 大ちゃんSNSやってない?

佐藤 やってるけど、宣伝か箱根駅伝のことかしか書かない。

荒武 やっぱりそういう感じになるんですかね?

佐藤 ゲームやテクノが好きだったときは、世界がテクノとかゲームでつながると思ったんです。どの国の人達ともハッピーに繋がれるみたいな感じで。

荒武 そういう夢があったよね。ネットで知らない国の人とも仲良くなれるみたいな。

佐藤 実際、世界中のクラブに行って、仲良くなれたんです。シェフィールドでのイアンもそうですし、それこそロンドンでも、ベルリンでも、ニューヨークでもそうだったんですけど。なんか(ネットは)違ったんですよね(笑)。これ老害っぽい発言だよね(笑)。



荒武 俺もそう思ってるからある意味嬉しいんだけど、これが現状だからね。そこからどう考えていくのかってのはあると思うんですけどね。

佐藤 それをどういう風にやったら物語にできるのかなってのはずっと考えてるんです。エウレカもそうですけど、アニメにストリートカルチャーとかダンスミュージックとか、自分たちが見たことのないものを入れたら面白いかなと思ってやってたら、草野くんを始め、全部そうなっちゃったんです。エヴァも含めて。だって、ステロタイプにNendoグラフィックスにTGBデザインが今のアニメのデザインのトレンドになってる。なんだったら全部33絡みの人たち。それで実際そうなっちゃったときに、じゃあ自分たちにとって何がカウンターだったんだろうって考えて。もちろん彼らが悪いわけじゃなくて、当たり前になったんだなーと思って。当たり前じゃなかったから楽しかったわけで。

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Photographed by Kei Murata

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