友達にプレゼントしてもらったセレクト・テープ

2012年2月 1日 13:04

カセット・テープ、正確にはコンパクト・カセットと言ってオランダの電機メーカーのフィリップス社が、1962年に開発したオーディオ用磁気記録テープの規格とのことです。CD以前のアーティストの楽曲の音源と言えば、レコード盤とこのカセット・テープの2種類でした。そして市場の殆どはレコード盤でカセット・テープでの音源リリースは余り多くなかったという印象です。やはりカセット・テープは空のメディアでそこに何かの音や音楽を録音するためのものという感じでした。1990年代後期、ミニ・ディスク(MD) が登場するまで市場に並び続け皆に親しみ使われ続けてきました。今でも少なからず売られていますが。

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そんなカセット・テープですが、自分で聴く以外にも、好きな曲やお薦めの曲を選んでダビング(コピー)して友達にプレゼントしたり、逆に友達が選曲したものをプレゼントしてくれたりもしていました。そんな気の合う音楽仲間とコミュニケーションするのにとても便利でした。というわけで「友達が僕にプレゼントしてくれたセレクト・テープ」というのが今回のテーマです。そんな中からお気に入りの思い出深いセレクト・テープをピック・アップしてみました。僕が個人的な友達にプレゼントされたものをただただ紹介していくというだけのもので、文章で面白さを伝えるのは難しいと思い、写真と共に振り返ってみることにします。んー、このテーマありかなあ?読んで頂けるとうれしいのですが... 。

そんな中から今回選んだ「僕がプレゼントでもらったセレクト・テープ」は、80年代後期から90年代初期のものでパッケージ的にはデザインも地味で正直今ひとつという感じもあります。僕的には70年代後期から80年代初頭辺りのパッケージが最もカッコいい時期だったなと思いますが、その頃のものは少ししか持っておらず、それだと僕よりもう少し上の世代の人がたくさん持っているような気がします。なのでパッケージというよりは、そのプレゼントされたテープの内容に触れたいと思います。曲目リストや、ラベルを見ているとスペル・ミスを見つけたりとそれもまた楽しいです... んー、本人だけか?

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それでは早速もらった年代順に。
 

(1本目) 1980年代後期にみつをがプレゼントしてくれたブラック・コンテンポラリーのバラード特集。みつをって誰だ?ですよね(汗)。みつをは学校のクラス・メイトで旧友です。当時僕はみつをにニュー・ウェーブを教え、みつをは僕にブラック・ミュージックを教えてくれました。「黒人音楽を余り知らない僕に何かテープを作ってくれ。」的なおねだりをして作ってもらったような記憶があります。Kool & The Gang, George Benson, Marvin Gaye... とブラック・ミュージックの基本中の基本といった内容で「I want you, I need you」の世界観がぎっしりのおセンチなラヴ・ソング中心の選曲でした。彼の影響もあって僕はブラック・ミュージックも段々と聴くようになっていきました。僕も得意のセンチメンタル路線のセレクト・テープを彼に何本かプレゼントしたことがあり、彼も喜んでくれたと思いますが、そんな中の1本「お前のテープ聴いたけど余り泣けない。」と言われ、悔しかったことがあります。どんな悔しさだ?ですね。みつをは僕があげたセレクト・テープ今でも持ってくれているのだろうか?今はCDの時代だし、もし処分していても怒ったりしませんが。
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(2本目) 1989年頃に照井さんから頂いたニュー・ウェーブ中心のセレクト。1989年と言えばちょうど平成元年ですね。その頃、僕はファッション・ビルのブティックで働いていて、照井さんはその隣のお店で働いていた某有名ブランドのスタッフの方でした。照井さんと僕は仕事中もよく顔を合わせていましたが、軽く会釈をする程度でした。そんなある時食堂でお昼を食べていたら混んでいて隣りに照井さんが座ってきました。僕が持っていたrockin'onの雑誌を見て「洋楽好きなの?」と話しかけてきました。「ついに会話した。」と思いました。「照井さんは何が好きなんですか?」と聞き返すと「Bauhausとか。」とのことでした。そして「お互いのセレクトテープを交換しようよ。」的な話で盛り上がり、僕がもらったのがこのテープです。A面はDanse Societyで始まり、次にSimple Minds、でなぜかOtis Reddingが来てDeep Purpleへと、他にも写真の通り何とも個人趣味と言うか面白い流れです。そして僕が大好きなAssembly(Vince ClarkeがDepeche Mode - Yazooの次に在籍していたバンド)の「Never Never」も第2弾のテープの方に入っていたり。その後、彼は僕のDJを聴きに来てくれたりととても社交的でしたが、それまで会話を交わすまでにずいぶん月日がかかりました。
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(3本目) 1990年代はじめ頃に木田君がプレゼントしてくれたHerbie Hancock, Dizzy Gillespie, Milt Jackson... 等の王道ジャズのセレクション。当時Acid Jazzが日本でも流行っていて、曲目の横には彼の一言コメントも書かれていたり。Tony Scott(あまり良いので2曲入れちまったい)、Bud Powell(僕は彼のためなら死んでも良い)などと書かれている。裏面に書かれた「Selecter by Q chip Kiddy」というのも笑える。このテープに収録されている曲がヒントになり僕もサンプリングして曲に使ったりと当時何気に影響を受けていました。ただasid jazzと「c」のスペル・ミスが一箇所惜しい。
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(4本目) 1989年頃に吉本君がプレゼントしてくれた60年代のフレンチものやガレージもの中心のセレクション。彼のおそらく膨大なレコード・コレクションの中から選曲されたものだと思います。かなり厳選された思わせる程センスが良い曲ばかりでとてもモンド感に溢れています。60年代の音楽は曲が短いので90分テープでのセレクションだと曲数も多くなければいけないし、録音作業はかなりの手間暇がかかったと思います。僕は彼のこのテープの選曲が気に入って、当時彼にDJのオファーをしたほどです。そのパーティーは300人近くのお客さんで賑わいました。
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(5本目) 2000年代はじめ頃、坂本さんからプレゼントしてもらったテープx2本。坂本さんからもらったセレクト・テープの数は本当に数えきれないくらいの数あります。コーナーが出来る程です。彼女と音楽の話をしているとすぐに「えー、今度テープ作るよ。」という話になり、すぐに作ってくれていました。本当に親切でした。このテープはHugo Montenegro, Silver Apples, Jesus and Mary Chainに至るまで選曲は幅広く、解説付きのお手紙は、さすがのちの音楽ライターを予感させるような完璧に近いものでした。これだけの手間暇をかけて、沢山プレゼントしてくれて本当に感謝です。彼女の音楽趣味は僕が20代の頃結構影響を受けました。
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(6本目) 1998年夏、Steveからプレゼントされたニュー・ウェーブ中心のオール・ジャンルのセレクション・テープ。彼は日本で行なわれた英国祭イベント「ALFO」というアートの展覧会のため来日していたアーティストです。「ALFO」の時、僕も関連イベント「ALTO」の主催とDJで参加しました。テープの内容は、Power Station, ゲンズブール, Tom Waits, Sly, Heaven17, Iggy Pop, Brian Enoなどに加え、Steveと共に行なった「ALTO」のイベントでの僕のDJや東京で過ごした思い出の日々の様子をテレコで録音していて、その断片が再編集コラージュされていて、さすがアーティストといった内容。手作り感満載のアナログなエディットがセンスよく映えたアートと真心がミックスされたような内容です。
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(7本目)  2000年代いつ頃だったか、Peter Mcdonaldにもらったお土産テープ。Peterとは彼がまだ高校生の頃からの付き合いの旧友です。こちらの2本はPeterがプレゼントしてくれたJUNGLE Selection。ロンドンの海賊ラジオ局で放送されたジャングルのDJ&MCのショーと、もう1本同じくジャングルのDJ&ラガMCで超高速BPMです。いずれも彼がエアチェック録音したものをおみやげとしてお手製インデックスで僕にプレゼントしてくれたものです。
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(8本目) 番外編:僕自身のエア・チェック・テープです。1984年頃、僕がまだ10代の頃のセレクト・テープです。字が下手です。というか笑えるのが教材カセットを消して、その上から録音しています。Celluloid RecordsのGolden Palominos, Nick kershaw, The Flying Pickets, Laurie Andersonなど、ニュー・ウェーブしてます。FMラジオからエアチェックで録音したもので、聴き直したらアナウンサーの声が混ざっていて、電波の受信が悪いものも録音されていたり、当時はストレスでしたが今だとなかなか笑えます。高校生の頃、僕はこういう音楽が好きでよく聴いていました。
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と計8本をピックアップして思い出と重ね合わせながらいろいろ書いてきました。ここに書ききれなかったものでもう1本「Don't Think Twice, It's All Right」という90分のセンチメンタル・ミュージックのセレクション・テープがあったんですが、どこかにあるはずなんですがそれがどうしても今回見当たらなくて。それはタイトルからも分かるようにラベルにはディランのイラストが書かれていて、60's & 70'sの好きな曲がたくさんセレクトされたテープでした。載せられず残念です(泣)。

今でもカセット・テープは全く姿を消したわけではなくて、ヒップ・ホップのミックス・テープや海外のインディーのファンジンの付録としてなど、マニアックなお店で売られていたりもします。その再生機のカセット・デッキは皆何で聴いているのだろうか?僕は音楽を聴く頻度が高かったので、早いペースで何台ものカセットデッキを使い倒しては買い替え、今はNationalのRQ-560というラジカセでテープを聴いています。さすがに以前程頻繁にはカセット・テープは聴いてはいませんが。

今の時代の話になりますが、2000年代のiTunesの進化は飛躍的で本当にすばらしかったと思います。セレクト・テープでやりたかったような編集が自由自在に出来て、曲順も簡単に変更でき、とにかくラクだし楽しいです。手間も時間も省け、その意味での洗濯機が発明された時と似ている感じかもしれません。ちょっと大袈裟かな?録音作業等が多かった僕にとってはiTunesは本当に大助かりでした。話は逸れましたが、今回たまたまカセット・テープを選びましたが、人が選曲してプレゼントしてくれる音楽ならCDRでもカセットでも本当は何でもよくてとても楽しいです。誰か僕にセレクトCD作ってください。

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90年代の僕のDJ ... duck rock

posted on 2011.07.17

DJ Duck Rock

1990年代初頭ナイトクラブでのDJをスタート。DJセットでは、ハウス、ブレイクビーツ、エレクトロとその時代の最新のエレクトリック・ミュージックを軸に、時に60〜90年代のモンド、ロック、ニュー・ウェイヴ、インディーなどの音楽をアクセントとしてミックス。BPMや質感の異なるそれらの多様な音楽の組み合わせ、DJミックスさせていくそのスタイルは、現在も変わらずジャンルの違和感を越えユーモアに溢れている。1999年以降、現在のDuck Rockに名義を改め、DJにとどまらずリミックスやプロダクションも本格的にスタート。Jon Spencer Blues Explosion,Space Cowboy, Polysics, Tokyo Sluts, Ramrider, Digiki,Detroit7他からのオファーを受け、数々のリミックス作品を手掛けオフィシャル・リリースされてきた。2002年にはKSRよりMixCD'Sound Republic Vol.2 Mixed by Duck Rock' (KCCD-092)を発売。その後も複数のコンピレーションに参加を重ね、現在もリミックス等のプロダクションとDJとで平衡して活動している。
http://soundcloud.com/duckrockremixes
http://www.mixcloud.com/djmixduckrock/
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