Child of Eden - ゲーム音楽制作

2012年4月16日 10:13

こんにちはQ'HEYです。

昨年のことですが、PlayStation 3及びXbox360用のゲームソフト「Child of Eden」(http://www.ubisoft.co.jp/coe)が発売されました。
日本に先駆けて、北米では6月14日に先行で出て、日本国内では10月6日の発売となりました。
これは一言で言えば音と映像が融合した新感覚のシューティングゲームです。
通常のコントローラーでも楽しめますが、モーションコントローラーのPlayStation Moveおよび、Kinectにも対応していて、腕や手のアクションでプレイすることもできます。
ゲーム内で使われている音楽は全て元気ロケッツの楽曲です。
Qhey-xbox.jpg  Q-hey_ps3.jpg

このゲームにはストーリーがあって、オフィシャルサイトからの転載になりますが、以下のようなものです。

 
 
   2019年9月11日
   国際宇宙ステーションにて
   1人の少女が誕生した。
 
   人類史上、初めて地球外で生まれた子の名は、Lumi。
 
   地球に降り立つことを夢見続けるも願いかなわず
   彼女の没後、すべての身体データは永久保存され、「Eden」と呼ばれる
   オープンネットワークにアーカイブされた。
 
   そして、時は進み、23世紀。
 
   21世紀に保存されたLumiのアーカイブからデータを組み上げ、Eden内に彼女の意識を形成する
   という試みがスタートする。
 
   その名は「Project Lumi」。
 
   しかし、Lumiの人格が組み上げられた瞬間、事件は起こる。
   Eden内で原因不明のコンピューターウィルスが発生し、
   Lumiのアーカイブにまで侵入してしまったのだ。
   このままでは、Edenだけでなく、
   Lumiの人格データまでもが消滅してしまう。
 
   Edenを守るため、Lumiのアーカイブを守るため、
   ウィルスを浄化するミッションが始まる。
 
 
元気ロケッツのファーストアルバムでの世界は、ここでも語られたLumiが地球に降り立つことを夢見るというものでした。
ゲーム「Child of Eden」の世界はその延長にあるものを言えるでしょう。
 
Child of Edenは現時点で既に全世界で50万本を発売したという大ヒット作で、ちょうど来週その50万本発売を記念する「一室まるごとChild of Eden展」が渋谷の「+SANOW LABs.」で開催されます。
(詳細はこちら)
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000997.000000136.html
 
開発したのはこれまでにも「Rez」や「ルミネス」などで音楽ゲームの次元を高めることに成功したキューエンターテイメントの水口哲也氏。
水口さんは2006年、全米プロデューサー組合が、アニメ、ブロードバンド、DVD、ゲーム、ITV、モバイル、映像効果といったデジタルエンターテイメント業界で、革新的な働きをしている50名のプロデューサーとクリエイターを選出する「Digital50」に、日本人としてただ一人選ばれました。
そして元気ロケッツのプロデューサーでもあるのです。
 
ボクは水口さんのゲーム「ルミネス2」にTOBYと共作した「Be-bop Acid」という曲を提供させていただいた事があります。この曲はオールドスクールなスタイルのアシッド・ハウスで、映像では山手線を一周窓から見た景色が流れる中、ボクとTOBYが一瞬すれ違うというものでした。
動画がこちらで見れます。


 

元気ロケッツがデビューするに際してリミックスの話もあったんですが、ちょっと時間が取れなかった事もありお受けできませんでした。
しかしその後デビュー曲「Star Line」のリミックス用素材をもらって、時間が出来たタイミングで作業してみたところ、結構自分でもいいと思える出来だったので、特に具体的なリリースのプランがあったわけでもないんですが、水口さんに送ってみました。
するとしばらくして今開発中の元気ロケッツの曲を軸にしたゲーム(当時は単に「Eden」と呼ばれてましたが)で是非使いたいという話をいただいたのでした。
 
そんな流れで冒頭で紹介したゲーム「Child of Eden」のプロジェクトに参加させてもらう事になったのですが、その作業が普段のリミックス作品とは違ったちょっと特殊な流れだったので、今回のブログではその辺の事を書いてみようと思います。
 
まず最初に「送ってもらったリミックスをベースに10分くらいのものを作って欲しい」というリクエストがありました。
そこで、ボクは既に作っていたリミックスをよりアップデートした形にし、ブレイクも大きくして、全体的に壮大な感じに仕上げて送りました。
作ったものを段階的に聴いていって、修正点や要望をフィードバックしながら、最終形を創り上げて行こうという流れで、まず第一段階の締切りが1週間後。
予定通りアップしたものを聴いてもらって、最初のSkypeミーティングです。
当初水口さんからは「Q'HEYさんの普段のテイストは知ってるけど、これは全く違う作品になるので、映画音楽でも作るつもりで、思いっきりチャレンジしてください」ということだったので、自分なりに行けるところまで行ったアレンジにしたつもりでした。
しかし所感としてはまだまだ。10分の尺を1曲とした壮大なものにしたのですが、壮大になったのはすごくいいんだけど、この展開自体は全体の半分で良くて、残り半分を全く違った展開にしてもらいたいとのことでした。
ゲームでの展開としては、クラブミュージック的なジワジワくるものは退屈で飽きちゃうので、それぞれの展開をもっと早くして、どんどん変わっていくものにしないといけないと。
 
実質ダメ出しだったわけで、後半の約5分を全く新しい展開にするっていうのは、軸となる曲はあるにしても、もう1曲作るにほぼ等しい感じになるなと思い、気を引き締め直して次の1週間後の締切りに向けて挑みました。
新しいアイディアを盛り込んで、後半が別の曲とも取れるようなものを作り、2回目のアップに臨みます。
しかしここでも、良くなってはきたものの、当初からあったものはさらに早い展開にしてもっと尺を短くし、さらなる別の展開を...となりました。一番最初にあったものは、8小節ごとに小さな変化があり、32小節で大きな展開というものでしたが、今では4小節単位でどんどん展開していくというものになりました。さらに展開自体も地味なものではなく、派手に音が入れ替わるように。
またこの曲が使われるステージのイメージに則して、イントロの部分は静かに入るという感じで、最終的には原型だったものは全体の4/1程度のものになり、トータルでおよそ4曲分のアイディアを詰め込んだような形になりました。
さらにゲームの展開も、プレイヤーのスキルによってスピードも変わったりループしなきゃいけない部分もあったりして、それがどの辺に来るのかも意識しながら曲の展開を考えたり、ゲーム上での大きな展開のタイミングに合わせて曲もガラっと変えなきゃいけないところもあって、いろいろと大変でした。
 
正直途中、これが本当に自分にできるのか若干自不安になるような局面もあったりしました。
しかしその反面刺激に満ちた作業をすることができ、完成してみると達成感と共に、作品への愛着もすごく湧いて、車で出かける際にはカーステでこればっかり聴いてるって日が続きました。
実際にゲームに組み込む際には更なるエディットも必要になるので、2ミックス完パケではなく、全トラックパラでの納品となりました。
全トラックをバウンスするこの作業がまた結構煩雑で(笑)。
まあ、プロのエンジニアさんとかは普通にやってる作業なんでしょうけどね。
 
で、このStar Lineのリミックスを使ったステージ「Evolution」が水口さん的にも一番好きなステージだそうで、それにフィットしたものが仕上がったと喜んでいただけました。
実はそれがどの程度本心なのかちょっといぶかりもしましたが、納品して数ヵ月後に「もう1つ新しいステージでまた元気ロケッツの新曲のリミックスをしてほしい」という依頼があったことで、確信することができました。
ゲーム内のステージは5つ(+隠れステージ1つ)あり、各々で使われる曲(全て元気ロケッツ)のリミックスをいろんなアーティストが手がけているということでしたが、そのうち2つを任せてもらえることになったんですから、光栄です。
 
今度の曲は「Maker」というもので、かなりロッキンでBPMも150くらいの早いもので、普通に4つ打ちにするとちょっとハードコアな感じになってしまいます。
なので冒頭ではキックは半分のタイミングで2分と4分のスネアを際立たせて、途中でキックをガッツリ入れて、さらにドラムンベース的な展開へと持っていくことで、メリハリを付けることができました。
全体の流れも、前に一度作業しているので十分呑みこめていることもあり、かなりスムーズに進めることが出来ました。
とは言え原曲が前のStar Line程展開に富んでいないので、メロディーの持っていき方などに若干苦労はしましたが、これもやはり満足の行く出来になったと思います。
 
そんなこんなで世に出たこの「Child of Eden」が大好評ということで、このゲームソフトの開発・プログラムにかかった気が遠くなるような時間と作業の中では、ボクが担った役割なんてちっぽけなもんなんでしょうけど、それでもやはり嬉しいいものです。
パッケージ内には「EVOLUTION - ‘Star Line’」と「PASSION - ‘Maker’」のクレジットで「Remix and additional production」としてボクの名前が載ってると思います。
 
実はボク自身PlayStation3もXbox360も持ってないので、このゲームをプレイしたことはないんですが、YouTubeではいろんな人がプレイしたものをキャプチャした動画がアップされています。
でもこれらはプレイ中のシューティング音が目立ってる上に、ゲーム展開によっては曲が不自然に展開してるように聴こえる場面も多々あります。
 
と、そんな事を書きながら改めてYouTubeを見てみたら、曲だけを録音してアップしてる人がいることに今日始めて気づきました。
 
それぞれこちらになるので、是非こちらを見て(聴いて)みてください。
 
EVOLUTION - ‘Star Line’



PASSION - ‘Maker’

 

水口さん自身がEvolutionのステージをプレイしてる動画もあるので、どんな風にやるのか興味がある方はこちらも是非。
(3:00くらいから実際にプレイが始まります。ゲームがスタートしてからは音量が大きくなるんどえご注意ください)



YouTubeにアップされている数あるプレイ中のキャプチャ動画の中から1つ紹介します。Evolutionのプレイ動画。
再生回数の多さやゲーム内容から見ても、この人はかなりうまいんじゃないでしょうか?
しかしここまで派手にアタックしてると、アタック音で埋め尽くされて原曲が不明瞭になります(笑)
アタック音のタイミングなどで自分で曲をリミックス/アレンジする感覚という趣旨のものなのでいいんですが。

http://www.youtube.com/watch?v=-O0FlbiJ8HI


 
最後にもうひとつ。
かつてボクの親友だったぽむちこと故 吉田一くんが、生前「Q'HEYさんを水口さんに会わせたい。絶対面白いことになるはず!」としきりに言ってました。
残念ながら彼が生きている間に水口さんと対面することは無かったんですが、まさに彼の葬儀を通じてお会いすることになり、結果このような形で一緒に仕事をさせていただくことになったのも、彼の遺志を継ぐことが出来たようで、感慨深いです。

DJ Q'hey

「MOON AGE RECORDINGS」主宰。東京でハードテクノの代名詞的存在とも言えるパーティー「REBOOT」、新木場ageHaにおいてレーベルパーティー「MOON AGE」をオーガナイズ。1989年よりDJ活動を開始して以降、日本のテクノシーンをリードする存在として常に最前線で活躍。国内最大級野外フェスティバル「METAMORPHOSE」に毎回出演を果たし、アジア、ヨーロッパ諸国でプレイする機会も多い。1995年から楽曲のリリースを開始し、2006年アルバム Q'HEY + REBOOT 「ELECTRIC EYE ON ME」をリリース、全国ツアーを開催。ミックスCDにおいては「SOUND REPUBLIC」「REBOOT #001」(共にKSR)「NYSO VOL.1:DJ Q'HEY」(YENZO MUSIC)の3枚を発表している。
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