Q'HEY特別講義 @ IDPS

2012年10月26日 18:36

10月22日月曜、市ヶ谷にあるDJスクールIDPS(インターナショナルDJ & プロダクションスクール)において、講師として特別講義を行なってきました。


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このIDPSは、トランス/エレクトロDJとして第一線で活躍しているDJ TSUYOSHIやFunky Gongなどが主任講師を務めるDJスクールで、昨年の秋に開校となり、新人DJを育成するDJコース、クラブ・ミュージックの作り方を教える楽曲制作コースがあり、一定のレベルに達したDJをイベントデビューさせるなどのプログラムがあります。

特別講義というのは、通常のクラスとは違い、専任の講師ではない外部のプロDJを招いて、テクニックの披露とトーク、質疑応答などをする授業で、IDPSの生徒でない一般の方でも1,000円で受講できるものです。
過去にDJ YUMMY、KO KIMURAが講師を務めたというこの特別講義、3回目の開催でボクが招かれたのでした。

多分スクールでは普通に2台のCDJを上手に繋いでいくというテクニックを教えていると思うし、過去2回の特別講義でも各講師はプロのテクニックを持ってのミックスを披露していると思います。

で、折角ボクがやらせてもらうからには、普段クラブでやってるように3台のCDJプレイヤーを駆使したミックスを披露すれば、特別講義としてのスペシャル感が出せるものと思い、3台使わせていただくようリクエストしました。

ところが普段授業で使っているミキサーは2chのもので、3台以上接続できるミキサーが無いということで、PIONEER DJM-800を持ち込むことに。

持ち込むって言っても実は自分でこのミキサーを所持してるわけではなく、友人から借りて持っていったのでした。

余談ですが、正直言ってボクはCDJプレイヤーさえ持っていません。

現場ではCDJもミキサーも最新のPIONEER製品を使っていますが、自分で持っているのは20年以上前からあるアナログのターンテーブルだけです。(笑) 

でも毎週数時間に渡って現場でプロ機材を使ってますからね。自分自身では常に最新の機材をアップデートし続ける必要はないと感じています。

スクールの方に到着してセッティングを済ませ、サウンドチェック、TSUYOSHIくんとの簡単な打合せをしてスタンバイ。

今回はこれまでの特別講義の中でも最も多数の受講予約があったとのことで、椅子も全然足りなくて多数の立ち見が出るとのことでした。

また通常は1時間の授業とのことですが、今回は2時間に増やしての講義ということで、さらに気合いも入ります!

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また講義の様子はUSTREAMでもリアルタイム中継されるということで、放送をご覧になっていただいた方も多かったそうです。

その模様はアーカイブされてアップされていますので、こちらからご覧いただけます。(機材トラブルの為、2分45秒位から映像がはじまります。)

IDPS特別講義 vol.3 Q'hey
http://www.ustream.tv/recorded/26357937

講義はまず主任講師のDJ TSUYOSHIの挨拶、ボクの紹介があり、早速DJプレイに入りました。

教室内ではDJセットの真上に据え置かれたカメラからの映像をプロジェクターで映し、手元の動きが生徒にわかるようになっています。

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USTREAMではそれとはまた別のアングルのハンディカメラ2台を使って、より動きのある映像をスイッチングしながら、VJ画像を乗せるというものでした。

プレイ時間は約30分。
使用するCDJプレイヤーは、授業で使っているPIONEER CDJ-350。

これはプロの現場で使われているものとは違い、機能がかなり簡素化されたホームユース向けの機種ですが、DJスクールでの学習には必要十分で、実勢価格が1台6万円程度なので個人で購入するのも比較的難しくない製品です。
プロユースのCDJプレイヤー2台とミキサー(CDJ-2000nexus 2台+DJM-900nexus等)を揃えたら60万円近くかかります。

ボク自身はCDJ-350を扱うのは初めてだったんですが、現在のボクのセットで使用している楽曲管理ソフトrekorboxを使用したUSBメモリでのプレイに対応していて、普段通りの準備でプレイできました。

ただ、LCDディスプレイが小さい為、表示できる情報量がかなり少なく、選曲の際は曲名の冒頭の一部の文字が表示されるのみです。
もちろんアーティスト名もアートワークも出ません。

ここで自分は曲名で曲を覚えているわけはないんだなっていうのを自分で知ることになりました。

改めて考えてみると、曲名(やリミックス名)とアーティスト、さらにはその曲の前後の並び、そして選択した際に見えるアートワーク(CDJ-2000の場合 2000nexusならリスト時に既に一部表示されてます)等、いろんな要素の組み合わせで記憶していたんだということに気付きました。

こうして曲名だけ、しかも冒頭の一部だけ突きつけられてもどんな曲かさっぱりわからない(短くて印象的なタイトルならわかりますが)ということに気付き、人間の記憶って面白いものだなあと妙なところに感心していました。(笑)

で、とりあえず何となくわかる曲や自分のセットで長くお馴染みなっている曲を選びつつ、じゃんじゃん3台のCDJを使ってミックスしていきました。

基本全ての曲にビートが入っているので、しっかりビートマッチングしないといけませんが、イコライザーで低音と高音をかなり削ってボイスのみがミックスされるような感じにしたり(その後のトークではアカペラという表現をしましたが、実際にはリズムも入ったものを削った状態にしてます)、割とシンプルなリズム構成の曲に細かいリズムの曲を混ぜることで音に厚みをつけたり、フェーダー操作とミキシングの抜き差しのタイミングでブレイクの流れを自分で作ったりしました。

普段でも割りと好きでやっているテクニックで、リズムが薄くなったブレイク時に、別の曲の裏打ちのハイハットのみを一瞬だけ混ぜて、それに2/3のタイミングのエコーをかけるっていうのがあるんですが、それもちょいちょい使ってみました。

そんな感じであっという間に30分が過ぎました。いつものフロアで踊っている人達に向けてのプレイでもなく、DOMMUNEのような目の前には数人踊っているけど放送の先には数千人っていう感じとも違い、目の前に座ってじっと手元を見ている方々っていう、ちょっと特異な状況でのプレイでしたが、かなり集中していたので、プレイ終了時には結構汗かいてました。

プレイ終了後にDJ TSUYOSHIからの質問に答えるというスタイルでのトークでした。
(このトークの部分も全てUSTREAMのアーカイブで見ることができます)

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この中でちょっと捕捉したい部分があったのでここに書いておこうと思います。

PC DJに関してどう思うかという質問があったんですが、ボクは先述の通り現在USBメモリでプレイしていることもあり、USBメモリでのプレイに対応しる機材のない現場でのプレイでは、わざわざCDを焼くことはせず、PC DJソフトのNative InstrumentsのTraktorを使ってプレイするようにしています。

USBメモリ対応の機種がある現場であっても、いろんな可能性を探る上でTraktorでプレイした事が何度もありますし、今後Traktorをメインに導入していく可能性は十分にあるとも思っています。

しかし先日発売になったCDJ-2000nexusの機能もかなり凄くて、ハードとソフトの進化も日進月歩なので、常に今の自分のパーフォーマンスにフィットした選択をしていくことになるんだろうなって思います。

ただ、常に最新の機材を揃えていけるクラブはさほど多くないので、現場によっては機材のレベルの差がどんどん大きくなっていく一方でもあります。
そういった中で、PC DJならどんな現場でも同じパフォーマンスが可能という利点もあります。

PC DJはプレイリスト(使う曲をリストにしてまとめたもの)を作りこんでその順番にかけるっていう印象もあるということでしたが、確かにそういうDJもいるでしょう。

しかしアナログレコードでプレイしていた時代は、あの大きなレコードバッグにやっと80枚程度のレコードを詰め込んで、その中で何となく「これは序盤でかけるグループ」「これはピークで」「これは雰囲気を変える時とかエンディングで」みたいなグループ分けをしてました。
そして新しいレコードを買ったら中味を少しずつ変えたりしつつ、長く使ってる定番の曲はずっと入ってたり。

そんなレコードバッグの中味みたいなのがプレイリストだと思います。

プレイリストはPC DJソフトだけでなく、USBメモリでのプレイにも使われます。

実際ボクも、ちょうど前の週に木曜 代官山AIR、金曜 新木場ageHa、土曜 麻布十番 WAREHOUSE702と、都内主要クラブのうちの3件を連夜でプレイするという機会があり、各々のパーティーが共演者も違えばパーティーの雰囲気も全然違うといったものだったので、そのどれにでも対応できるように120曲ほど入れたプレイリストを用意していました。

ボクの場合、1時間にプレイする曲が約20曲です。
もちろんどのパーティーでもプレイする、肝の曲もたくさんあるので、120曲あれば十分です。
それでもアナログ時代の80曲より全然多いし、実際にUSBメモリに入ってるのは数千曲なんで、他のプレイリストから探したり文字入力で検索したりでもできます。

で、そのリストをそのままIDPSにも持って行ってプレイしました。
プレイリストというのは、このように非常に便利な上に、考え方によってはアナログ・レコード時代のような感覚さえもあるものなのです。(次にかけたいレコードを数枚斜めにして出しておくような感覚で準備できる「タグ・リスト」というのもあります。)

ただし、USBメモリでのプレイが可能な機材があるのは都内においてもビッグクラブに限られるのが現状なので、IDPSではCDでのプレイを教えているというのは極めて正しい方針だと思います。

またCDでのプレイの際は、CDケースに入れた曲をあちこちから探しだすという検索力も必要になってくるので、大小問わず全ての現場で落ち着いてプレイできるDJになる上ではそれも必要な力になるでしょう。

あと、この講義で話した内容が、結構このブログで書いてきたことを結構被る部分があります。

DJを始めた頃の話もそうですが、ちょうど今ブログのトップページで「反響のあった良エントリーを再呟」としてピックアップされている「絶好調からの挫折」での終盤の「キャリアの重要性」「何があっても辞めないこと」っていう部分とか。

しかし今回の特別講義、ボク自身にとってもいい刺激になったし、実りのある時間を過ごせた講義でした。

プレイの方では、張り切り過ぎてちょっと詰め込み過ぎたかなあっていう気もしたので、2台でのミックスをしばらくきっちりやって、その後徐々に3台ミックスしたり手数を多くしたりと判りやすく順を追ってテクニックを盛り込んでいけば良かったかなあとか、最初に少し説明をしてから実技を見てもらった方が、理解しやすかったかもしれないとも思いましたが、もしまたこのような機会を持たせてもらえるなら、その辺じっくり事前にミーティングするなりして、しっかり準備してやりたいと思ってます。

IDPSの生徒が現場で活躍する日を楽しみに心待ちにしております!

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なお、ボクの今後のスケジュールは以下の通りです。
10/27のReVOは歌舞伎町のど真ん中で開催される野外イベントで、普段のクラブとは違い、日常の中に現れた非日常的な空間って感じで楽しいですよ!Function、石野卓球、Dr.Shingoと共演。
そして11/9はボクがオーガナイズするパーティーREBOOT。ボクの46歳のバースデースペシャルという形です。
是非遊びに来てください!

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10/27(土)
新宿 歌舞伎町シネシティ広場 "ReVO"
http://revo-tokyo.com

10/28(日)早朝アフターアワーズ
渋谷 ROCKWEST "ROCKWEST HALLOWEEN PARTY - MORNING"
http://rockwest.jp

11/4(日)早朝アフターアワーズ
渋谷 module "module 11th ANNIVERSARY AfterHour"
http://module-tokyo.com

11/9(金)
西麻布 eleven "REBOOT - Q'hey Birthday Bash!"
http://www.go-to-eleven.com

11/10(土)
渋谷 LOUNGE NEO "MITTE"
http://loungeneo.iflyer.jp

11/11(日)早朝アフターアワーズ
渋谷 ROCKWEST "THIS IS!? - 1st Anniversary"
http://rockwest.jp

11/16(金)
渋谷 module "渋谷 module "REC● × TECHVANE schaffen vier""
http://module-tokyo.com

11/18(日)夕方
渋谷 WOMB "uFoN4 feat. HARDFLOOR"
http://www.womb.co.jp


また、間もなく日本の新レーベルTorqueから第1弾としてリリースされる作品Masa Ueda "Sprecher Verdammteres"でリミックスも担当しています。
アナログとデジタル両方のリリースがあります。
アナログでは当初ボクのリミックスはA2に入る予定だったそうなんですが、音圧があり過ぎてB1に収録される事になったそうです(笑)。

Masa Ueda - "Sprecher Verdammteres" EP
http://soundcloud.com/torquebeat/trq001

DJ Q'hey

「MOON AGE RECORDINGS」主宰。東京でハードテクノの代名詞的存在とも言えるパーティー「REBOOT」、新木場ageHaにおいてレーベルパーティー「MOON AGE」をオーガナイズ。1989年よりDJ活動を開始して以降、日本のテクノシーンをリードする存在として常に最前線で活躍。国内最大級野外フェスティバル「METAMORPHOSE」に毎回出演を果たし、アジア、ヨーロッパ諸国でプレイする機会も多い。1995年から楽曲のリリースを開始し、2006年アルバム Q'HEY + REBOOT 「ELECTRIC EYE ON ME」をリリース、全国ツアーを開催。ミックスCDにおいては「SOUND REPUBLIC」「REBOOT #001」(共にKSR)「NYSO VOL.1:DJ Q'HEY」(YENZO MUSIC)の3枚を発表している。
blog :
http://blog.so-net.ne.jp/qhey
MySpace :
http://www.myspace.com/qhey
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