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Free Paper / Cover 2004 / ISSUE April 2004
ISSUE April 2004
ASYURA、UNITED BREAKSをプロデュースしてきたステロタイププロダクトが、この春、新しくスタートさせるプロジェクト『LOCE』。今回このプロジェクトのブレーンである新メンバーのツジモト氏とステロタイプ児玉氏にお話を伺いました。彼らに指定された対談場所は湘南の海岸。ビーチにイスと机を置いて目の前に大きな海を見ながら、風に吹かれながら、トンビに食べ物を狙われながらの(笑)対談でした。春の湘南はサーファーと犬の散歩をする人ぐらいしかいなくて陽は暖かく色彩は淡く、緩い時間が流れる中『LOCE』の世界観をお聞きしました。

LOCE DESKTOP PICTURE
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表紙デザイン
LOCE - Long Interview
■PLANT SEED PARTY
児玉 「今日わざわざ湘南までお二人に来てもらったのは『LOCE』の世界観を伝えるのに、こっちに来てもらって話した方が、より伝わると思ったからなんですよ。」
荒武 「いや〜この光景は本当に素晴らしいですよ。なかなか平日の午後に海に来るなんてないしね。児玉君は2年くらい前に湘南に引っ越したんだよね。前は吉祥寺に住んでいたけど。」
児玉 「そうなんですよ。吉祥寺もすごく大好きな街なんですけど、子供が生まれたらちょっと違う街に見えてきたんですね。嫁と二人だった頃は吉祥寺って最高だよねって毎週飲みに行ったりしてたんですけど、子供ができてからは遊ばせる場所は少ないし子供を育てる環境ではないなと感じてて。それでたまたま家族で湘南に遊びに来た時に、子供の遊ぶ姿を見て“ここに住もう!”って決めたんです。その日一泊して、次の日には地元の不動産屋で物件を決めてしまいました(笑)。」
荒武 「そうだったんだ。でもその気持ちわかりますよ。ただ事務所は都内だから通勤が大変なんじゃない?」
児玉 「はじめは辛かったですけど、もう慣れました(笑)。」
−今日来てみて思ったんですけど、湘南って意外と近いんですよね。新宿から1時間ちょっとで来れますもん。それでこの風景ってすごいですよ。ツジモトさんは東京の人じゃないんですよね?
ツジモト 「ボクは和歌山出身なんですけど、大阪に出て8年ほど前から東京に。」
−何をされてたんですか?
ツジモト 「遊んでどう生きていくかを実践してました。田舎では車も持ってて…ムリやん!って(笑)。その頃の彼女に“いい加減働いたら?”って薦められたレコード屋さんがあって、そこに行ったんが働くきっかけ。それでそこのお店がレコードだけでは食われへんから、音楽関係のオモチャも扱うことになって。それが軌道に乗って東京に事務所を出すことになった時に、こっちに出てきたんです。その時はまだバイト扱いの頃で、段ボール3箱で出てきて事務所に住んでたりしたんですよ。その後、東京も事務所だけでなくお店もやるようになったので、オレも社員になって、、、某オモチャメーカーのプロモーション的な事をずっとやってたんですけど、ふと気付いたら雇われ社長にまでなっていて。それがオレのスーパーバブル時代(笑)。児玉君と知り合ったのはその前あたりかな。」
児玉 「そう、98年か99年くらいにステロタイプが札幌パルコのリニューアルのビジュアルを担当してそのリニューアルパーティに呼ばれて行った時、たまたまツジモト君も展覧会のプロモーションで来ていて。ポツっと一人ぼっちで(笑)。オレも一人でお互い一人で来てたから…。」
ツジモト 「淋しさをまぎらわして(笑)。」
児玉 「それからまぁそんなに頻繁に会うことはなかったんですけど、電話したりとかしてて。」
ツジモト 「近況報告とかしてて。で、その会社を辞めたんが今から約3年前。」
荒武 「なんで辞めたんですか?」
ツジモト なんか夢がなくなっちゃったんで。やることがなくなったというか。社長になったことで押さえ付けられた感っていうのがものすごい強くて。」
荒武 「責任も出てくるしね。」
ツジモト 「でも雇われ社長なんで中途半端な責任感で妙に気持ち悪くて。贅沢な悩みだと思うんやけど。まぁオレじゃなくても誰でもええやんって思っちゃったんですよね。」
荒武 「ここにこれ以上いたら自分にとって危険!みたいな勘が働いたんですね。」
ツジモト 「ナチュラルボーンでそういうところがありますね。辞めてから2年はまた遊んでましたね(笑)。遊ぶことが何より好きで、そこから生まれてくるものを信じてるので。」
−児玉君とツジモトさんが『LOCE』を一緒にやろうと思ったいきさつは?
児玉 「僕、ぶっちゃけ言うと、2年前くらいからASYURAの世界観を続けていくことが無理になってたんですよ。ライフスタイルが180度変わっちゃったので。ASYURAの後期ではビジュアルにビーチを使ったりしてたんですけど、ASYURAにビーチって…え〜?って感じじゃないですか。まずASYURAっていう名前自体が違うし、もう7年8年やってるブランドなんで、ちょっとやそっとじゃ変えるがことできない。でもどこかでピリオド打って新しい事やりたいな、っていう気持ちが強くなってきて。その頃よくツジモトくんと会っていて、彼はブっとんだおもろいことを言いながら、ビジネス的な部分もちゃんと考えてて、ツジモトくんとならおもしろいこと出来るかも!って思ったんですよ。それで何回か飲みに行くうちに序々に“ツジモトくん一緒にやろうよ〜どうなん?どうなん?”って誘っていって(笑)。そしたらボクと将来的に見てるビジョンもすごく近くて、じゃあ”自分達が最高だと思うものをかたちにしていこうよ”みたいなところで気持ちがまとまってLOCEをスタートさせたって感じです。ASYURAについては、もちろんすごく考えましたけど、その歴史を止めてまでも今の自分の気持ちに正直になりたかったみたいなね。このことはまだ表向きにはちゃんと発表してないので、ここが最初になるかもしれないです。」
−でも1月号の33のフリーペーパーで“ASYURA final level”ってビジュアルに載せてたじゃないですか。あれで“ASYURAって終わっちゃうんですか?”って何人かの人に聞かれましたよ。
児玉 「そうですか。敏感な人はあれでもわかるのかもしれませんね。」
荒武 「それからこれは避けて通れないことだと思うんだけど、タイミング的にもデザイナーの山田君が亡くなったことがきっかけなのかなって感じた人も多いと思うんですけど…その辺はどうですか?まぁ彼はASYURAではなくUNITED BREAKSを自身のブランドとして展開していたわけだけど…。」
児玉 「この件に関してはそれが直接的な理由ではないんです。生前の2年程前から山田を含めメンバーに“一回リセットしたいんだけどどう思う?”的な話しはしてました。とは言っても彼の存在、彼の死は僕たちにとって相当大きいものだったし、彼の死をどう受け止めるかという事は今後の僕たちにとっても大きな事でしたからね。だからうまく言えないけどASYURAとかLOCEって事でなくていろんな意味で彼が僕たちに与えてくれた大きなきっかけなんだなと前向きに思ってます。突然のことだったので、ここまで思えるようになるにはやっぱり時間もかかりましたけどね。」
■KEEP YOUR ATTITUDE
児玉 「このプロジェクトは初めのコンセプト固めとそれをビジュアルに起こすのがすごい大変だったんですよ。今シーンがないところを僕ら行こうとしてると思ってるんで非常に難しかった。まず一言で伝える共通の言葉がないんですよ。具体的に、例えば“スプートニック”という単語を使ってそっちに振り切ってしまうと中身がなくなってくるしね。」
ツジモト 「言った途端やっぱりスプ−トニックじゃないのよ〜って(笑)。すぐ近くにいる若いスタッフにも伝わらないこの状況の中、かなり試行錯誤しましたね。」
児玉 「お互い近い位置でじっくり話し合って確認していたのに、1ヵ月経ったらズレてしまってもう一回最初から確認、とかそういう作業が相当ありました。2番、3番煎じの話じゃないんで何を説明するにもややこしい。例えばこの前の展示会に繊研新聞の方が取材に来てくれたんですけど、記事に”サーフブランド”っていうキーワードが大きく出てたんです。まぁ僕の説明を聞いて向こうがイメージした言葉だと思うんですけど、わ〜違う!と。でもそれもなくもないみたいなね。」
ツジモト 「違うって強くは言えないみたいな(笑)。でもいわいる”サーフブランド”ではないから。」
荒武 「でももう一回転した意味でのサーフブランドっていうのはアリなんじゃないかな。僕らが知ってるのは王道的なサーフブランドだけど、『LOCE』はASYURAというブランドを前身にしているじゃないですか。都市から来ていて全く逆ですよね。都市文化から来た、しかもどちらかと言うと決してアーバンではなく、いわいるオタクカルチャー的な所から来たサーフブランドって多分どこにもないと思うんですよ。そのギャップが面白いと思うんですよね。みんな“え!ASYURAがサーフブランド!?”ってまず混乱する。でもここには文脈があるじゃないですか。それが伝われば絶対今までのサーフブランド的なものじゃないことは明らかですよね。この前、展示会で商品を見せてもらったんですけど、これは33的に面白いなと思ったことなんだけど『NUKE』と『ASYURA』ってうちの中でも同じシーンにいてすごく大きな存在だったじゃないですか。それがそれぞれ『JULIUS』と『LOCE』に移行したわけだけど、『JULIUS』がより都市文化の最果てを追っかけていて、『LOCE』はまさにそこから切り離れてそしてこの光景に来てるっていうのが、対照的で面白いと思いましたね。」
−具体的にはどういう感じのウェアなんですか?
児玉 「う〜ん…。無理矢理言うならアーバン&ネイチャーな感じかな。」
荒武 「全体的にソフトなイメージですね。表面的なディテールやフォルムはすごくソフトに感じました。」
児玉 「もっとわかりやすく言うなら、ちょっとキレイなアメカジみたいな感じかもしれないですね。イメージとしては,砂とかさびとか枯れとか…。ラスベガスの砂漠でやってるバーニングマンとか…。」
ツジモト 「わかりやすい言葉で言うと近いのはそんな感じかもね。」
児玉 「たださっきも言った通り一言で的確に表せる言葉がないんですよ。その言葉さえも作ることが必要なのかもね。」
ツジモト 「さらに『LOCE』の洋服って一見トガってないでしょ。でもボクら的にはめっちゃトガってるわけですよ、内側に。でもビジュアル的ポップさでいうと表にトガった方が受け入れられやすいのよね。勝ってるところってある意味みんなキャラクターマーチャンじゃないですか。言ってみたらもうキャラクター戦略に近いところがあるから、、、みんなディズニーかよ!みたいな(笑)。」
荒武 「ルイ・ヴィトンやシャネルは一つの神話を売ってるじゃないですか。伝説というか。そのあとにアメリカのNIKEみたいなスポーツというライフスタイルが世界に出てきた。そのあとに出てきたのがキャラクターマーチャンなわけだけど『LOCE』はその先を探してるんじゃないですか。」
ツジモト 「次は精神的なところに落ち着くと思うんですよ。それで世界が変わる、絶対!。“モノがいいから売れた”“安いから売れた”“これ誰が作ってるから売れた”“ブランド力”とかいろんな売れ方をしてきて、残された道は精神的なところだと思う。そうじゃないと世界は破滅しますよ(笑)。」
児玉 「だから洋服でどれだけ伝える事ができるかわかんないですけど、表面的にわかりにくいエッジの部分を、こうして考えを伝えたりビジュアルで見せたりっていう作業が絶対必要かなと。とっかかりは服からなんですけど、今回のプロジェクトは服だけじゃなくて、これからいろいろと遊びを通じておもしろい事をやりながら『LOCE』の世界観を伝えていければなと。」
ツジモト 「これは抽象的な話なんですけど、地方に営業に行った時に、自分は内側に向いてるトゲについて話してるのに相手は外側しか見えてないんだとわかったんですよ。これは同じ向きから感じてもらって話さないとわかってもらえないなって。」
荒武 「そこをいかにうまく伝えられるかはビジュアルが大事になってくるんでしょうね。」
児玉 「世界観をわかりやすく伝えるにはホームページが重要だって思ってるんですね。服以外のところの僕らがやる心の活動を通じてどこまで表現できるかが勝負なんで、ホームページは“え?これ本当に洋服のブランドのサイトなん!?”ってことになるかもわからないですね。」
ツジモト 「ボクはそこでコラムを書こうと思ってるんですよ。文字の力も借りて表現していこうと。でもイカれたことばっかり書きますけどね(笑)。」
−私はこの前送っていただいたプレス用のパンフレットのビジュアルやテキストから、『LOCE』のトゲというか意志を感じましたよ。
ツジモト 「うんうん、出したつもりなんですけど。」
荒武 「それわかる人はわかると思うんですよ。ピンと来るって感じで。」
児玉 「でも本質的なことをわかってくれるのは、ある程度の経験値っていうかバランスが取れる時期を通過していないと難しいだろうね。ただテーマは決して腐るものではないと思ってるんですよ。50年経っても100年経っても、わかる!って言ってくれる人結構たくさんいると思うんですよね。」
ツジモト 「そうね。すぐわかるものってすぐ消費できるからあっという間やん。すぐわからないっていうのはマーケティング的に大変なのかもしれないけど。」
荒武 「そういうところで悩んでるのは東京くらいかなって思いますね。キャラクターで売れてるのも多分日本が先端で、『LOCE』のようにその先は何だろうって探してる所は、世界的に見ても一番先頭で悩んでるっていうか考えてる感じなんじゃないですかね。それはよくよく位置を考えると面白いし、もしそこが見つけられたらそれこそパイオニアになれると思いますよ。」
児玉 「そうですね。例えば一言でスケートカルチャーみたいなキーワードを使えばみんな共通のビジュアルがなんとなく見えるから簡単だと思うんだけど。『LOCE』の世界観ってあまりにも壮大で、まだ僕たちさえもイメージしきれてない部分も正直あって、でもそれが形になってシーンになって新しいスタイルが生まれるまでいけたとしたらこれ以上ない喜びですよ。そこまで行くにはけっこうな道のりだと思いますけどね。」
■LOVE&PEACE
『LOCE』ってネーミングについて教えてください。
ツジモト 「これは単なる造語で、ビジュアル的に良いかなくらいのものなので言葉自体に意味はないんですけど。ただ造語としての元ネタは”LOVE&PEACE”。”LOVE&PEACE”を縮めて『LOCE』。」
−ああそうなんだ!急に名前が親しみやすく思えてきた(笑)。
ツジモト 「これね、“ローチェ”とか読む人多いんですけど読み方は“ロス”です。」
荒武 「“ロス”って響きは“失う”じゃないですか。意味が相反してて面白いですね。LOVE&PEACEか〜なるほどね。」
児玉 「僕らヒッピーのカルチャーは通過してないんですけど、ものすごい興味があって、やっぱり『LOCE』の世界観の中でヒッピーカルチャーって重要なエレメントなんですよ。リアルには知らないので語れって言われても語れないんですけど、あの生き方っていうのはすごいと思ってて。」
荒武 「でも通過してない人が作ったモノの方が面白いと思うよ。通過してる人が作るともうすぐわかっちゃうんですよ。ある意味形式美で。」
−新しい形のLOVE&PEACEはみんな求めているんじゃないかな。ヒッピー精神は賛同できる部分が多いけど身近に感じられないんですよね。リアリティがないというか。
ツジモト 「彼らは今を生きるために古いものを守っていくっていうのがすごい強いじゃないですか。だからこそあっちからの発信がでかいものになって世界にいくんやろうなって。あくまでもビジネスじゃないってところから始まってるのが強いと。」
荒武 「あれはベトナム戦争とかあって社会的な背景があるから、カウンターカルチャーとしてのあの凄みがあるんで、それを今の状況でそのままやってもカウンターがないじゃないですか。もしくは違うカウンターを見つけるっていうのもあるのかもしれないけど、無理して見つけるものじゃないしね。」
ツジモト 「僕も最初『LOCE』のコンセプト固める時にカウンターカルチャーって言葉を使おうとしたんですよ。でも何にカウンターなん?って自問自答した時、同じものに対してカウンターせなあかん的なね。言ってみたら今のメディアだったり今のアパレル業界になんやけど、同じことやってるボクらがカウンターしても、え?みたいな。住み分けが出来ない。それは違うなって。だからもうサブカルチャーとかカウンターカルチャーじゃなく、ただのカルチャーやと。単なるカルチャーとしてそういうのがあるって成立させたいって思ってます。」
■FREE YOUR MIND !
児玉 「ちょっと話変えてもいいですか?僕すごく謎なのがね、みんな同じように生まれてくるのに小学校くらいからグループって分かれてきますよね。」
荒武 「オタク系だったりヤンキー系だったり?」
児玉 「あれって何でなんですかね?まぁ一言で環境って言われてしまえばそれで終わりなんですけど。」
荒武 「もともと持ってる性向ってあると思うんですよ。あとはたまたま最初に会った友達がヤンキーだったとか、オタクアイドル系だったりすると、そっちに行くんじゃないですかね。友達って重要ですよね。」
児玉 「僕たちがいるグラフィック業界もそうだけど、コンピューターが絡む業界ってオタクっぽい人が多いんですよ。」
ツジモト 「だって昔はコンピューターとかに興味持つ時点でもうオタクやん。あんなのまだ中学生でマッキントッシュなんてない頃から、家でカタカタキーボード打ってる子達やろ。オレは逆にそういうやつ中学高校の頃、バカにしてた。家にゲームしに遊びに行ったら、ファミコンやと思ってたのにそんなのやり始めて、しかも自分で作ったみたいなゲームで。何やお前?みたいな(笑)。」
児玉 「それって自分の中のものを発することができなくてそっちへ行ってしまうんですかね。」
−う〜ん。やっぱり親が重要なんじゃないですか。何かやってみたいと小さな衝動があった時に理解がないとコンピューターになんて絶対いかないじゃないですか。
荒武 「オタクに関して言えば、日本が経済的に豊かになって、子供に部屋やパソコンを与えられる環境を持つ家庭がいっぱい出てきて、そういう環境が生んだ人種ですよね。日本の場合その中間層がいっぱいいて、派手な遊びじゃなくて内に籠って、でもある程度親がお金を持ってるから欲しいものは何でも買い与えられてっていう。オタクは日本の裕福な経済の象徴なんじゃないかな。」
児玉 「僕が何を言いたかったかっていうと、そういういわゆるオタク系の人ってなかなか出てこないんですよ、こういう自然の中に。」
荒武 「いわいる陽の当たる場所ですね(笑)。」
児玉 「割とインドアな人多いじゃないですか。そういう人達にどこまでこの『LOCE』的な文化を理解してもらえるのかなって。」
ツジモト 「でもね、オレが『LOCE』でイメージしてる世界観って確かに住み分けはあるかもしれへんけど、基本的には境界はないと思ってる。例えば海って日焼けしに来るサーファーもいれば、一般のOL、会社員もおると。そこにオタクが入ってないかっていったらオレは入ってると思う。誰の中でもいわいる心の思い出アルバムってあると思うんだけど、ここに実際来なかったとしても自然の存在って誰もが潜在的な部分に必ずあると思うんですよ。これを見て(海を指差して)ああいいな〜って思えないやつがおったらオレはその場で自殺する(笑)。」
児玉 「そうだね。この間『LOCE』の撮影の時にどうみても自然とは無縁な感じのオタク指数の高いグラフィッカーの子もこっちに来てもらったんですけど、そいつが海を見て“あ〜いいですね〜”って喜んでくれてるわけですよ。こいつがいいって言うんならやっぱりこの世界はわりと広いんだろうなと。」
ツジモト 「みんなにあるでしょ?この世界っていうのは。サーフィンやってる人とはやっぱり違う見え方してるやろうけど、そうじゃないボクらもまた違った面白さが見えてるやん。オタクって言われてる人がここに来て思うことっていうのも基本的には何ら変わらないって思うよ。」
児玉 「うん、だけど若い時ってどうしても都心都心に行くでしょ。実際にこっちに来る必要はないんだけど、どうやってこっちに目を向けてもらうかって、やりたいことの一つなんですよ。この良さを伝えたいなと。」
ツジモト 「でもこれってやっぱり精神的な世界だから、そこは人に言われて楽しいとかの部分じゃないよ。それはクラブも一緒でさ、楽しいから踊ってみろって言われて煌yしいと思うかどうかはその人やんか。ただ多分、今は物質的な喜びの方がすごいから、メディアや情報の洗脳みたいなものが見えてないんじゃないかなっていうのは正直思うし、そこはわかって欲しいなと思う。オレ、テレビ見てたら“嘘やん全部嘘やん、そんなわけないやん”って常にそういうことばっか言ってる(笑)。本当の物って見に行かないと絶対わからないでしょ?自分で見に行ったり聴いたり感じたりしないと。そういうのが一切なく嘘か本当かわからないけど、ただ“売れてますー”っていきなり提示されて“あ〜売れてるんやったら買おう”みたいなところで物を選択したらあかん。サーフィンだってサブカルチャーとか言われてるけど実際やってみたら全然違う。でもなんかどこかファッション的な捉え方されてしまうところに、時代のヤバさを感じてしまうんですよ。」
荒武 「日本人は物事に対して相対的な価値観を見るのには慣れてるけど、絶対的な価値観を持つことが苦手な国民かもしれないですね。慣れてないっていうか。」
−それは情報が求めなくても勝手にどんどん来るから、その情報をババって捌くのは上手いんですよ。じゃなきゃ気が狂っちゃう。情報にはわりと従順に反応しますよね。
荒武 「雑誌で大きく取り上げられてるからかっこいいものだと、自分が感じる前にインプットされてしまう。」
ツジモト 「人の価値観をインプットされて、それがさも自分の価値観のように生きてるっていうその状況があり得ない。気持ち悪い!例えば、何かパッと見たものに関して、その瞬間、 日本人って一つしかないものにこれは良いのか悪いのかっていう判断をほとんどの人が出来ないと思うのね。それが二つあって何か見比べらるならどっちがいいっていう判断は出来るんやろうけど。もちろん人によって評価は違うから一概には言えないけど。でも人にはみんな潜在的なところがあって、そこはみんな共通で、一旦自分に入れてからその人なりのスキルや経験値で、ある程度リミックスして感じることができたら真実が見えてくると思うんですよ。」
−『LOCE』に関してもそういう風に感じて欲しいですね。
ツジモト 「そう。『LOCE』でボクらが“出したい見せたい感じて欲しい”ことは、メインビジュアルをパッと見てどうかっていうことより、いったん自分の中に入れてもらわないとね。パッと見て“ああビーチね”じゃなくて、一旦自分の中に入れて寝かしてくれと。それでふと思い出した時にそれをもう一回見てくれと。その時に初めて片鱗みたいなものが見えると思う。」
児玉 「『LOCE』がモチーフにしてる雲や空や海みたいなものは、誰もが潜在意識の中にあると思うんですよ。だからその潜在意識の底なし沼に入っていって自分で掴んできてもらう作業をしてもらわないと理解不可能なんじゃないかなって思うくらい深い世界だと思いますよ。」
ツジモト 「その作業するには何をしなきゃいけない?って言うと『LOCE』のキーワードである“FREE YOUR MIND”っていう、いわいる心を解き放たなければっていうところに繋がってくるんよね。目に見えるものばかり見てたら絶対見失ってるものがある。もったいない!見えないものを見ようとするところに、その人の個性も出てくるしスキルも上がると思うね。」
−それって自分の本質にまでいこうってことだと思うんですよ。それはなかなか大変だし怖いことかもしれないですね。生活変わっちゃったりするし。
児玉 「簡単に言うとボクはこう思ってるんですよ。旅行に行くじゃないですか。準備して非日常に出かけて、例えば温泉に入った瞬間、その時一瞬流れる波動みたいなものだと思うんですよ。FREE YOUR MINDって。」
−リラックスして素の自分に戻る感じかな。ここは人工的なものがすごく少ないですよね。それが安心する。時間が緩く流れてて。感覚も都会にいるより安心してるから開く感じがします。私は都会の方が無感覚になっちゃうかも。
荒武 「都会は目の前ギンギンの看板だらけなわけですよ。でもココは向こうから攻撃してくる情報がない。都会の情報のシャワーに完全に順応してる人は、逆にこの情報のなさが…というより違う種類の情報がいっぱいあるんだけど、そのチャンネルに慣れるのにいくつかのスイッチと少し時間がかかるのかもしれないよね。」
児玉 「ここは夕方はもっともっとすごいシチュエーションになるんですよ。色とかヤバいんですよ。携帯持ってたらすぐ来いよ!ってみんなを呼びたくなるくらい。」
荒武 「それはいかに莫大なお金のかかった六本木ヒルズの照明にもかなわないよね。」
ツジモト 「絶対かなわへんねー。」
荒武 「そのすごさに黙っちゃうのはあるよね。六本木ヒルズはスゲーなーって思うけど、でも言葉で片付いちゃうよね。同じ人間が作ってるから作為的な物も少なからず感じてしまうし、そこから発せられる情報に圧倒的にひれ伏すってことはあり得ないんだけど、水平線に見える夕日はひれ伏すしかないよね。」
ツジモト 「言葉を失いますよね。」
児玉 「その感覚を『LOCE』で伝えたいけど本当に難しい。」
ツジモト 「伝える術をオレらもまだわかっていないというのも正直あるしね。」
−あたしも事務所で徹夜した夏の朝に、すごい空を見て勢いで編集後記に書いちゃって、あとで恥ずかし〜って思うことありますよ(笑)。言葉では伝えられない。
荒武 「うちのとこから見える空は都庁とか東京タワーとか六本木ヒルズのシルエットから光りが出てくるからアキラの世界なんですよね。あれはあれでキテるんだけどね。」
児玉 「ちょうど副都心のとこから陽がグアーってあがってくるんですよね。」
−そうそう。夏とか特にグラデーションも派手で陽の力も強くてホントすごいんですよ。世界が変わる。
ツジモト 「あと副都心の雨上がりとか妙にキレイなんですよね。ディテールとかが。あれはびっくりした。」
児玉 「こっちに住んでから朝の海と夕方の光景には本当にノックアウトされっぱなしで、わざわざ朝早くおきて海にいったりするもん。ちょっと前の自分では考えられなかったしね。」
ツジモト 「一時も同じ光景がないからね。どんどん変わっていくし。しかも毎日くり返し誰にでも訪れるし。和歌山に住んでる時から海にはよく行ってたんやけど、サブい話が呼ばれるんよね海に。魅き付けられるっていうか。」
児玉 「ほんと圧倒的だよね。僕、地球上の全てがデザインのモチーフになると思ってて。例えば夕方の空を見てすごいグラデーションがキレイと感じたら、その見て感じた部分を自分流に料理する。そういう時に割と新しい領域に辿り着くみたいな。ある物をただある物とだけとしか見えないようだとネクストの世界には辿りつけないと思うんですよ。見たものを一回自分の中で処理して、自分で形付けるのが自分らしさとかネクストの表現だったりスタイルだったりっていう気がしてるんですよね。それを『LOCE』では提案していきたいと思ってます。」
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