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Free Paper / Cover 2004 / ISSUE July 2004
ISSUE 2004 july
森本晃司エキジビジョン 「大吉ハイ!大凶デス!」開催!

第2部では『大吉/大凶』をテーマにすることになったきっかけの「吉祥寺」について、20年以上吉祥寺に在住する33社長・荒武氏と、こちらも12年以上吉祥寺にある「スタジオ4℃」で作品を作り続ける森本晃司氏に語ってもらいました!
Koji Morimoto×akira aratake
 
 
 
 
■「吉祥寺」という街について
荒武 「スタジオ4℃(*1)ってずっと吉祥寺なんですか?」
森本 「もともとは三鷹。でもまぁ吉祥寺近辺に12年以上いるってことだよね。」
−吉祥寺ってアニメ関係の会社がたくさんあるイメージですよね。
森本 「いや吉祥寺にスタジオがあるっていうと“すごいところにあるね!”ってびっくりされますよ。アニメ−ション業界においては、ある意味ステータスが高いんですよ。 まず土地代が高いし、特に4℃はすごいバブリーなマンションに入ってるから(笑)。」
荒武 「アニメーション会社って吉祥寺というより荻窪とか三鷹とか、中央線に集積してると思うんですけど、それってガンダムの事務所(サンライズ)があったからですかね。」 
森本 「あそこは正確に言うと新宿線なんだけどね。まぁタツノコプロ(*2)が国分寺にあって、東京ムービー(*3)が阿佐ヶ谷にあったので、そこら辺の区間の中や西武線の間にみんな住んでたっていうのがあるのかも。」
荒武 「最初に中央線沿線にスタジオを構えた人ってなんか理由があるのかな。」
森本 「最初、山手線の駅だったらそっち行ってたかもしれないけど、山手線の中では暮らせる賃金は出てなかったからね(笑)。それに吉祥寺はやっぱりいろいろと便利だったんじゃない?」
荒武 「絶妙な位置にありますよね。渋谷も新宿も20分くらいで行けるし。動きやすい。」
森本 それは大きいよね。
−ところで森本さんと荒武さんが最初に吉祥寺に来た時ってどんな感じでしたか?
荒武 「最初は大学受験で来たんだけど、吉祥寺って井の頭線の終点じゃないですか。すごい田舎に来ちゃったな〜って思ったんですよ。あちゃーって(笑)。でも住んでたらそうでもないんだなって。僕は吉祥寺の良さは住むようになってからわかってきたって感じですね。」
森本 「俺は吉祥寺に来る前、南阿佐ヶ谷に住んでたから前から吉祥寺ってかっこいい街だなって思ってたよ。南阿佐ヶ谷は今と違ってオヤジの街って感じだったから、吉祥寺に来てめちゃめちゃ若者が多いのを見てやっぱりいいな〜って。20年前はロータリーも今みたいじゃなくて松屋とかホープ軒が駅前にあって、まだパルコのところに映画館とかディスコとかあって。サンロード(*4)は幻魔大戦(*5)の頃にはできてるってことだから、あれも20年前ぐらいにできたんだね。」
−小さい頃、パルコの前の道ってまだちゃんと舗装されてなかった記憶があります。
荒武 「その感じって今のハモニカ横町(*6)に残ってるんだよね。」
森本 「ハモニカ横町、好きなんですよ。あそこがなくなったら絶対つまんないよね。」
荒武 「住む意味なくなるよね。でもみんなそう思ってると思うんですよ。金かけてでも残さなきゃダメだよ。」
森本 「あそこが残せないような街なのかって思うと思うんですよ。あれが経営できないような街なんて淋しいじゃないですか。それって住んでる人を大事にしてないことになると思うんですよ。よそから来る人ばかり相手にしてるような新しいお店ばかりの街には住めないじゃん。」
荒武 「その時はもう吉祥寺を出る時でしょうね。あといせや(*7)とか。ずっとあって欲しいなぁ。」
森本 「いせやと言えば公園の存在もでかいよね。公園でも水のある公園と水のない公園って全然違うと思うんだけど井の頭公園は大きい池があるからね。」
荒武 「あれだけでかい池ってなかなかないですもんね。」
森本 「神田川の源流だし。あと意外と知られてないんだけど井の頭公園(*8)には動物園(*9)があるんだよね。ジブリ美術館(*10)もできたし。」
 −公園周りは特に古いところもそのまま残ってるし、新しいところもどんどん開発されてますね。
森本 「新しいところができるのは老けない感じでいいなと思うよね。住んでても自分が老け込んでいかないっていうか。」
荒武 「そうだね。そういう土壌はありますよね。そう考えると吉祥寺ってオルタナティブな街だなぁって思うんですよ。なんかこう勝手にやってるアトラクションがたくさんある感じで、ディズニーランドっぽいなと(笑)。」
 −エリアによって特色があったりしますしね。 公園の方はエスニックなにおいがするとか、東急裏はセレクトショップがあるとか。
森本 「だけどアートとか絵のエリアがないんだよ。 ギャラリーとか画材屋さんとか関連するものが固まってあるエリアがあったらいいのに。」
 −あれ?そういえばないですね。吉祥寺は美大系の人が多いからあってもおかしくないんですけど。
森本 「世界堂(*11)があって欲しい!」
荒武 「じゃあ世界堂誘致計画立てましょう(笑)。あと東急ハンズも!」
 ■new shop33について
 −そんな中で33も吉祥寺に新店舗を出すことにしたわけですが、荒武さんが移転してもやっぱり吉祥寺と考えたのはなぜですか?
荒武 「まず第一はずっといるんで愛着が強いんだよね。あとやっぱり何かの縁があったんだと思うんですよ。例えばそれがシアトルでもたまたまそこに行っていればシアトルにこだわってたと思うけど。面白い場所って磁場があると思うんですよ。そこに面白い人達が集まって街ができてるんで、それぞれちょっとずつ違うカラーが出てくるんで。マンチェスターのカラーがあれば、ボストンのカラーがあれば、シアトルがあればゴアがあれば吉祥寺もあればって。それがオリジナリティじゃないですか。ただ同じようなショッピングモールだけがあって団地だけがあって…みたいなところにはなかなか愛着が持つのが難しいよね。」
森本 「でもさ、もしかしたら住んでる人は団地がかっこいいと思ってるかもしれないよ。例えば大友さんが『童夢』(*12)で団地を描いたけど、団地を愛してる人が何かの媒体で取り上げたら途端に団地がかっこよく見えてくるじゃない。大切なのは身近なものにどれだけ愛を持って接せられるかってことで、それがほんとに好きな人達はそれが描けてるしエネルギー出してるし、それによって空気が変わるよね。」
荒武 「確かにそうですね。森本さんも作品によく“吉祥寺”って言葉やモチーフを使ってるよね。」
森本 「“吉祥寺”ってかっこいいな〜って思うんですよ。“吉”っていう漢字もかっこいい。」
荒武 「うんうんかっこいい。よくぞ付けたって感じ(笑)。アニマトリックスでもナンバープレートみたいのに“吉祥寺”って書いてましたよね。あれを見て“吉祥寺”って言葉自体かっこいいなって思った。」
森本 「多分ここにいるせいもあるよね。地元の名前とか身近な名前を作品に使うのってかっこいいことだと思うんですよ。愛着とか誇りがあるからできることだからね。」
荒武 「そうだよね。自分が住んだり生活している場所を好きにならないで何ができるの?っていうのはあるよね。住んでる場所に愛を持たないと。それが原点っていうか出発点だと思うんだよね。愛着があるから、そこを自分らでもっと面白くしたいっていう気持ちが生まれるわけで。」
 −吉祥寺って長く住んでいたり、吉祥寺でずっと活動している人が多いですよね。森本さんも荒武さんもそうだし、VIC(*13)の手塚さんやペパーミントカフェ(*14)の吉田さんやスターパインズカフェ(*15)のマービンさんとかも。
荒武 「みんな愛着が深いんだよね。そう考えると吉祥寺はそこにいる人が面白いっていうのもあるね。例えば普通に道を歩いてたら楳図かずおさんが歩いてたり、大友克洋さんが歩いてたりするじゃない。俺的にはもう本当に夢の世界なんですよ。若い頃憧れてた人が日常にいるんだもん。大袈裟じゃなくビートルズが生まれた街・リバプールみたいなとこがありますよ。」
森本 「俺も大友さんが吉祥寺にいるのはすごいと思うし誇りを感じるよ。楳図さんはまた違う次元の吉祥寺に住んでる気がする。あの人の持ってる周囲10mくらいのオーラはすごい。磁場を変えちゃうもん(笑)。最初に道で会った時“ぐわし!(まことちゃんの手で)”ってやったらやってくれたんだよね。その時、慌ててイマイチ手がちゃんとできなかったのが悔しいんだけど(笑)。」
 −うらやましい!やっぱり街にとってそこに住む人って大事ですよね。
荒武 「お店もバンドなんかと一緒でお客さんがそこを作ると思うんですよ。森本さんみたいな作家にしろファンによって育てられてるわけじゃないですか。支持する人がいるから新しい絵が描ける。店も支持する人がいるからそこに店が続けられるわけで、そういう面ではそこの場所を象徴してると思うんですよ。」
森本 「33は吉祥寺の中では新しいものを提供するお店だよね。」
荒武 「いや〜なかなか厳しいですけどね。」
森本 「でも長くやってるのは大事だと思うわけ。続いてるっていうのが大事なんだよ。南天(*16)もそうだけど。」
荒武 「ただやっぱりバンドと一緒で常に新しいものを取り入れていかないと。そこには何の契約もないわけだから面白くなくなったらそれで終わりじゃないですか。まぁそれは何でも一緒ですけどね。」
森本 「俺なんて毎回新人だと思って描いてますよ。なんか見つけてこないとって。みんな見つけようとしてるからね。」
荒武 「いや〜毎回新人っていいね〜!うちもまぁ初めてのお店としてがんばっていきたいですね。」
森本 「次のお店は1階だからだいぶ違ってくるんじゃない?酔っぱらいとかもふらっときちゃうみたいなとこだから。今までのお店は吉祥寺も原宿もどっちも選ばれし者しか来れなかったからね(笑)。」
荒武 「何も知らない人も来るわけだから、そこでなにか化学反応があったら面白いですよね。どっちに転ぶかはわからないけど。そういう意味も含めて、森本さんの大きな絵が井の頭通りにでかく見えるっていうのは非常に楽しみなんですよ。あそこっていつも車が渋滞してるじゃないですか。あのインパクトの強い絵を子供やおじさんとかいろいろな人が見てどう思うんだろうって。」
森本 「それは俺も見てみたい(笑)。」
荒武 「これこそが吉祥寺だと思うんですよ。うちみたいな変なお店もあって他にもいろいろあって、街自体ディズニーランドみたいにしていこうって。基本的には住んでる場所を面白くしていこうっていうことだと思うんですよね。そうやっていくうちに“面白そうだから参加しよう”って新しく外から違う人材が来て、そこにまた面白いお店ができたりしたら、それがどんどん磁石みたいにくっついていい磁場ができるんじゃないかな。」
森本 「まず自分達が面白がらないと誰も面白がってくれないってことなんだよね。面白がるっていうか俺が面白いんだからってことが伝わればいいと思うね。よく言われるのが世界を変えようと思ったら、自分を変えろって。誰かじゃなくて自分が変わる、そういう意識でみんなが繋がっていけば本当にいいんだけど。」
荒武 「そうだね。だからみんなで集まって吉祥寺をこんな風にしましょうなんて相談するところはないけど…。」
森本 「暗黙の了承ですよね。面白がれる人が集まる街は面白いに決まってるよ。」
荒武 「端から見てても行ってみたいと思うだろうし、その辺に住んでる人と話してみたいって思うだろうしね。 そう言う場所に住んでるのは誇りですよね。」
 −あともう一つだけ街をあげてみんなで応援できるものがあればいいですよね。例えばサッカーチームとか。
森本 「いいね!吉祥寺キッカーズ(笑)。」
荒武 「吉祥寺はどっちかっていうと文系の街だからなぁ。でもシアトルって街をイメージつけたのはカートコバーンだし、それによってその場所をみんなが注目したりっていうのがあるんで、そういうのでもいいと思うんですよ。そういう意味で吉祥寺っていうのを全面に出して世界に出たアーティストって森本さんししかいないじゃないですか。それもっとやってほしいですよ。吉祥寺を世界に!(笑)」
森本 「わかりました。がんばります!(笑)」
(6月18日吉祥寺『千成瓢箪』にて)



<注釈>
(*1)スタジオ4℃(http://www.studio4c.co.jp/ 
プロデューサー田中栄子氏と森本晃司氏と佐藤好春氏によって設立されたアニメーション制作会社。「MEMORIES」「スプリガン」「アリーテ姫」などの劇場アニメーション作品をはじめ、ミュージッククリップ「EXTRA/KEN ISHII」「サバイバル/GLAY」、ショートフィルム「ノイズマン」「永久家族」映画「アニマトリックス」などを制作。最新作は今夏公開の湯浅政明監督による原作・ロビン西の『MIND GAME』(http://www.mindgame.jp/)。劇場公開に先駆け6/25(金)森本晃司が手がける「MIND GAME Remix」DVDが発売。ちなみにスタジオ4℃という社名は、水の密度がいちばん濃い温度であることから高密度=ハイクオリティな映像を制作する、というクリエイティブ・ポリシーを表しているそうです。
(*2)タツノコプロ(http://www.tatsunoko.co.jp/ 
昭和37年に設立されたアニメ界の梁山泊『タツノコプロ』。ここで制作された「マッハGoGoGo」 「みなしごハッチ」「科学忍者隊ガッチャマン」「タイムボカンシリ−ズ」などは誰もが知っているあまりにも有名な傑作ばかり。
(*3)東京ムービー(http://www.tms-e.com/ 
こちらも昭和39年設立された老舗アニメーション制作会社。「エースをねらえ」「ガンバの冒険」「巨人の星」「ルパン三世」 「アンパンマン」など名作を制作。
(*4)サンロード 吉祥寺駅と五日市街道を結ぶ商店街。この4月に開閉式のアーケードが全面リニューアル。夜はイルミネーションが点灯したり、テフロン膜の屋根がスクリーンに早代わりして、夜空や海になってイルカが泳いでいたりという映像を流す事ができるそうです。
(*5)幻魔大戦(http://www.kadokawa.co.jp/dvd/HP/genma/ りんたろう監督による平井和正・原作のSF小説のアニメ化した映画。1983年公開。キャラクターデザインを大友克洋氏が担当。当時映画界に衝撃を与えた。サンロードのアーケードを舞台に超能力を使う名シーンは圧巻。
(*6)ハモニカ横町  戦後の闇市として栄えた商店街の趣きがそのまま残っている駅前の路地裏。ハモニカ横町という由来は小さな店の並びがハーモニカの吹き口のようなので付いたそうです。現在は新旧のさまざまな(飲み屋、魚屋、洋服屋、果物屋、麺屋、和菓子屋なんでもあり)個性的なお店が雑多な感じで集まっています。
(*7)いせや   昭和3年創業の老舗。精肉卸売業と精肉店を経営していて昭和29年から焼き鳥店を始めたそうです。公園口と吉祥寺通りの2件のお店があり、公園口のいせやは昔、遊廓だった建物を使っているそうで女の人が降りてくるステージのような階段があります。
(*8)井の頭公園(http://www.hometown.ne.jp/inogasira/index.html 
まさに吉祥寺のシンボルといえる大正6年開園の歴史ある広大な公園。池には地雷が埋まってるとか、恋人同士はボートに乗ると別れるとかいろんな噂があります。
(*9)動物園(http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/zoo/inokashira/ 
戦後最初に来日した象のハナコがいます(50年以上生きてる!)小さな水族館もあります。
(*11)三鷹の森ジブリ美術館(http://www.ghibli-museum.jp/ 
公園内にある地上2階、地下1階建ての宮崎駿監督アニメーションの世界が楽しめるワンダーランド。
(*12)世界堂(http://www.sekaido.co.jp/ 
品揃えと安さ日本一を誇る、画材・文具・額縁専門店。
(*13)童夢 
第四回日本SF大賞を受賞した大友克洋氏のコミック。マンモス団地で多発する住民の変死事件から始まったミステリードラマが最後はエスパーワールドに炸裂。
 (*14) V.I.C. 吉祥寺に最も多い家電電器屋さん。雑貨や家具などや食品なども扱っているお店もあり吉祥寺に住む人には馴染みのあるお店。5年前からハモニカ横町にて「ハモニカキッチン」、公園口にて「MISHIMA」など飲食店も。ちなみに33新店舗は元一番大きなVICがあったところにできます。
(*15) ペパーミントカフェ(http://www.peppermintcafe.com/ 
吉祥寺、いや都内で一番おいしい(と思う!)タイ料理屋さん。店長吉田さんの人望でミュージシャンやアーティストがたくさん集まる店。現在のお店ではMie Ishiさんというイラストレーターが、前のお店(一度立て壊しがあったため移転)では下條ユリさんとサイモンテーラーが壁面の絵を描いたりしていました。
(*16) スターパインズカフェ(http://www.mandala.gr.jp/spcnite.html 
いわずと知れた本格的なライブハウス兼クラブ。吉祥寺村起しには重要なポジション。
(*17)南天 
先日10周年を迎えた中道通りにある飲み屋さん。内装の一部を大友克洋氏が手掛け、お客さんにもアニーメーターが多い。森本氏ももちろん常連。夜な夜なメニューにないものを頼んでいる。
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