mt.mushroom interview

みなさんはもともとどういう知り合いなんですか?
hiroci:
僕とnanoさんは3年か4年くらい前かな、イエロー(西麻布のクラブ)にとにかく毎週遊びに行ってた時期があってよく会うから友達になったんですよ。 keisukeはnanoさんの高校の先輩で、当時僕は会ったことなかったんですけど曲を作った時にnanoさんがkeisukeっていうテクノをやってる人がいるって言うのでじゃあ彼にも聴いてもらおうってTAPEを送り付けたんです(笑)。
荒武: じゃあ最初二人でmt.mushroomを始めて、あとからkeisukeさんが入ったの?
hiroci: そうです。
- どういういきさつで3人でやることになったんですか?
hiroci: 僕はもともと遊びでDJをやっていたんですけど、四つ打ちなら自分でも作れるんじゃないかくらいの甘い考えを起こして3万くらいの安い機材を買って打ち込みを始めたんです。でも音符も読めないしコードもなにも知らないので、今だになんですけど自分の曲の音程が合っているのかとか意識したことがなくて、keisukeに会った時もまず俺の曲って合ってる?って聞いたんですよ(笑)。
keisukeさんはhirociくんの曲を聴いてどうでした?
keisuke: 最初珍しいコード使ってるなって思いました(笑)。きれいなコードなんだけど自分で鳴らしてみると押さえ方がすごい難しかったりしてすごいな〜って。
hiroci: ほんとに音楽的な知識がなんにもなかったので。それでたまたま歌ものができたのでじゃあ詩をつけてやってみようかって時に試しにnanoさんに歌ってもらったら声に透明感があってすごくよかったのでじゃあ是非ってことになったんです。
nanoさんはその前もどこかで歌ったりしていたの?
nano: 小学校の時に街の合唱団に入っていました。 それからはなにもやってなくて…。
荒武: でもずっと歌ってみたかったんだ。
nano: はい。歌は好きだったんですよ。
hiroci: nanoさんも僕と一緒で音楽的な裏付けが何もないじゃないですか。なのでお互いに自信がゼロのままとりあえず人に聴いてもらったんですけど、みんなわりとちゃんと聴いてくれて曲として認めてくれたので、嬉しくてまた作ったって感じでした。できちゃったから歌ってみる?って感じだったので、曲を作ってどうしようとかそういうのは全く考えてなかったですね。
nano: 最初は自分達で聴く用に作ったんだよね。 山でこんな曲聴いたらいいだろうなぁっていうのを作ろうって。
hiroci: 僕たちよく山に遊びに行くんですよ。山頂でサワサキ(ヨシヒロ)さんの曲とかビョークの曲とか、心に入ってくるような曲を聴いて楽しんでたんです。そこに自分達の音も参加させてみようって。実際山頂からのすごい眺めを見ながら自分らの曲を聴いてみたら「あれ、これすごくいいんじゃない!」って思って(笑)。 それから自分達の周りの音楽が好きな人にも聴いてもらおうってことになって。
nano: 身近なところから。 keisukeさんとか。
keisuke: ある日ポストにmt.mushroomって書いてあるデモテープが入ってて、なんだろうって思って聴いたらnanoさんが歌っててああいいなぁって思いました。さっきからhirociくんはなんとなくできちゃったみたいなこと言ってるけど、既に今の感じがもうあったんですよ。その時僕はmt.mushroomの存在は知らなかったけどもうちゃんと世界を作ってましたよ。
荒武: keisukeさんはその後どういう風にメンバーに参加することになったんですか?
keisuke: hirociくんちでシーケンサー走らせてる時「これこうした方がいいんじゃない?」とか言ってるうちになんとなく…。 hiroci:参加しないかとかじゃなくて気が付いたら…って感じで。それも自然な流れでしたね。
- それからCDとしてパッケージするまでどのくらいかかったんですか?
hiroci: 全然おぼえてないんですけどとりあえず33に置いてるのは最近なんですよ。その前にドイツのレーベルからお話をもらったんです。ある日本のアーティストのホームページのリンクで日本のポップカルチャーを紹介しているレーベルを見つけて面白そうだったので尋ねて行ったんですね。そこは日本のアーティストのイラストとかデザインとかいろいろ紹介していてとてもいい雰囲気だったのでメールを書いてみたんですすよ。
nano: よかったらうちのホームページに遊びに来てください、って。
hiroci: デモテープを送るという概念はあんまりなくて、自分達のホームページに遊びにきてくれないかなぁと思っただけだったんですけど、次のメールでいきなりリリースの話が来てびっくりしました。それでちゃんと音をCDで送ったらそこから出る日本のアーティストのコンピの参加が決まったんです。最初送った音は安い機材で作ったもので全然洗練されてなかったんですけど最終的にはkeisukeがマスタリングしてくれて。
keisuke: マスタリングっていうかバランスを整えてあげたんです。バランスが整ってないと歌が聴きずらかったりするから。でもいつもずっとやってるとわかんなくなるんですよ。これでいいのかなって。ドイツのCDの時は死にそうになりました。軽い鬱病と不眠症になりそうになりましたよ(笑)。
荒武: バランスって際限ないですからね。でも僕は今売っているCDのアレンジすごい好きですよ。
- うん、あのCDは聴いててとてもここちいい感じでした。
hiroci: それは全て彼のおかげなんですよ。ドイツのコンピに入る音源ももう送ったんですけど。
- そのコンピってそうそうたるメンバーですよね。FPMとかピチカートとか須永辰緒さんとかでしょう。他の人はみんなフェイマスなアーティストだから納得だけどmt.mushroomだけ快挙じゃないですか。
荒武: そのレーベルの人がすごいよね。もう既に名前がある人と同じところで評価できるっていうのは耳が確かってことですよ。
hiroci: そのレーベルの人達がこの間日本に来たのでお会いしたんですけど、僕たち山や海など自然のなかで音を聴いてそれでいろんな感動したことを曲にしてるって伝えたら、それがわかるって言ってくれたんですよ。 なんか浮遊感とかあとカラフルな感じとかでそういうことを感じたって言ってました。
荒武: 荒武:おお素晴らしい。その人達は日本語わかるの?
hiroci: 少しわかります。
- ウェブがあってビジュアルでも世界をちゃんと伝えられたこともよかったんでしょうね。
荒武: ウェブがとても完成されてるんだよね。英語のページもちゃんと作ってるじゃないですか。それってなかなかできることじゃないですよ。ウェブを作ってるのは誰なんですか?
hiroci: 僕です。最初にリアルオーディオで発表した時も海外の人の反応の方が全然多かったんですね。日本人の反応はあんまりなかった。文化的な部分もあると思うんですけど海外の人はわりとメールを書くことに慣れてる気がします。
- もう熱烈なファンとかいるんじゃないですか?
hiroci: それがいるんですよ。他のエレクトロをいろいろ聴いたけど君達はすごくいい!って言ってくれた人がワシントンDCで毎週まわしてるDJらしくって、音が欲しいって言われて。その気に入り方が僕らの好きな感じの気に入り方だったんでCDを送ってあげたんですよ。そしたらパーティでかけてくれてるみたいで、レスポンスがすごいんですって。それは誰の声なんだ?とか。
日本語ですしね。急にかかったらきっとビックリするよね。DJの人って気に入ってくれたら勝手にどんどん拡めてくれるからいいですよね。
hiroci: 海外の人はちょっとでも感動するとすぐ伝えてくれますしね。
荒武: 逆に距離感ないですよね。でも最初にURLを知ってもらうのがとにかく大変じゃないですか?それはどんなやり方をしたの?
hiroci: 僕インターネット始めてから海外のページを見るのが好きでいろんなサイトを見てたんですよ。そしたら海外のネットワーク図にすごく詳しくなってしまって、海外のクラブだけの小さいサーチエンジンとかレイブのサーチエンジンとかサブカルチャー的なところに自分のURLを登録すれば海外の人にも多く見てもらえるんじゃないかって思って大小含め200か300くらいは登録しました。そしたら世界各国から反応があったんですよ。
荒武: それは誰かにこうすればいいよとか言われたんじゃなくて、こうやったらいろんな人に聴いてもらえるなって思ってやったんでしょう。
hiroci: そうです。
荒武: それって発明じゃないですか。今までは多くの人に聴いてもらうためにレコード会社や好きなアーティストに送ったり自分達でCD作ってお店に置いてもらったりしてましたよね。それより別の労力かかるかもしれないけどフットワーク軽いし非常に賢いやり方ですよね。今までの方法論にはなかったパターンですよ。まさにインターネット時代のやり方だと思いますよ。
hiroci: もともとリリースってことより普通に音楽を好きな人に自分達の音が届くといいなっていうのが強くてそれだけでがんばってみたんですけど。
keisuke: hirociくんちに遊びに行くとずっとインターネットやってていろんな国で登録してるんですよ。あ〜こんな国に登録してるんだって。横で見ててここってどんな国なんだろう、どんな人がいるんだろうなって思うとなんか旅してる感じなんですよ。 それで実際にメールとか来るとすごく感動しますよ。
hiroci: それで僕らまだ何もリリースもしてないのにブラジルからリミックスしたいって依頼が来たりしましたよ。
- インターネットがなかったらこんな風にはならなかったかもしれないですね。 hiroci:そうですね、ちょっと想像つかないです。なんにもしてなかったかもしれない(笑)。
nano: ライブもできなかったかも。ライブのお誘いもインターネットで来たのでじゃあやってみようかって感じだったんですよ。
−自分達でライブやろうと思ってたわけじゃかったんだ。
nano: そうなんですよ。最初にやったのはQUIPっていうインディーズマガジンのイベントでお誘いを受けて。
−それ今年のことですよね。
hiroci: 1月のことです。しかもいきなりスカパーのviewsicの撮影が入ったんです。初ライブでテレビかよって(笑)。
keisuke: さすがに怖かったですね。
nanoさんはそれまで人前で歌ったことなかったんでしょ。 お客さんは何人くらいいたんですか?
nano: 300人くらい?満員でした。
すごいー。緊張しました?
nano: う〜んちょっと。やっぱりしゃべるのは苦手ですね。
だってmt.mushroomを知らない人がほとんどなわけだもんね。
nano: そう、知らない人がいっぱい。でもとても楽しめて3人とも終わったらまたすぐ次やりたいね〜とか言って。
何分くらいやったんですか?何曲くらい?
nano: 5曲かな。30分くらい。
結構長い!ライブって今まで何回やったの?
nano: 2回です。
hiroci: えーまだ2回だっけ?もう随分やった気になってたよ(笑)。
ライブはどんな感じでやるんですか?
keisuke: 僕ら淡々とシーケンサーを走らせてるだけであとはnanoさんに任せて。ぼくらは地味に地味にあんまり目立たないように(笑)。
荒武: nanoさんは振り付けとかしないの?
nano: 振り付けはないですね(笑)。
hiroci: そこもぜんぜん意識しないでライブに臨んだっていう。 ただ楽しそうにしてるっていうか。
keisuke: そうそう笑ってるよね。よくそんなに笑えるなーって(笑)。
nano: ビデオ見たらずっと笑ってました(笑)。すごい楽しくて。レコーディングとかも3人でやるんですけど作業をしてるって感じじゃなくてただ遊んでるって感じなんですよ。
hiroci: 遊ぶのもいつも3人が多くてそれの延長みたいな感じですね。
ライブではVJとかは入れないんですか?
hiroci: 今までは入ってないんですよ。気に入った人がいたらお願いしたいと思ってるんですけど・・・・・。
keisuke: でも基本的には全部自分達でやりたいよね。 いろんな人が作ったのを見たんですけどやっぱりhirociくんがパパって作ったものの方が内容がつまってていいんですよ。
荒武: 技術うんぬんじゃなくて作ってる人がビジュアル化したのが一番いいんですよね。
hiroci: 時間ができたらやりたいですね。
- 山の風景とか流れたらいいかも。
nano: そうなんですよー。ライブ会場なのにいつのまにか山にいるみたいになったらいいな〜って。
hiroci: 山で聴く音楽の良さっていうのを理解してもらえたらいいなぁって思います。今ロケをしてて…というか山に遊びに行った時にカメラまわしてるだけなんですけど、アルプスが写ってたり雲の壮大な感じとかが撮れていたりして。やっぱり目で見るものとは全く違うものなんですけど、ただその風景の持つ波が少しでも伝わったらいいなって思うんです。みんな心の中に昔見た山とかありますよね。少しでもきっかけを与えられればそういう自分の中にあるいいものが拡がるんじゃないかなぁ。
- 私ウェブに載ってる山の写真、すごいキレイだなーって思いました。
hiroci: あれも全部山で撮ったんですよ。あまりいいカメラで撮ったものじゃないんですけど、あれはみんな気に入ってるんですよ。
あういうのがライブの時バックに写し出されてたらいいんじゃないかなぁ。
荒武: 荒武:うん完璧な世界観ですよね。ライブでは是非見たいなぁ。
今後ライブの予定も入ってますが、新しい曲とかも作ってます?
nano: 新曲も作ってますけど、今まで作った曲自体まだたくさんあるんですよ。もう一枚CD作れるくらいはあるよね。
hiroci: 作曲マニアっていうか(笑)。ちょっと作りすぎてたよね。
keisuke: しかも作るの早いんですよ。
hiroci: こういう風にnanoさんが歌ったら気持ちいいんじゃないかなっていう、それだけなんですよ。 nanoさんのおかげで曲がイメージしやすくて自然に曲が生まれてくる感じがします。僕の曲のイメージと完全にシンクロしてしまったっていうか。
荒武: うん、ずっとお話を聞いてると全部がすごく自然に無理ない流れでできているからいいよね。例えば海外でリリースすることも無理してやってるわけじゃなく、曲を作りはじめたのも3万くらいの機材で始めてっていう。
hiroci: そうですね。なにかすると必ずなにか反応があるというか…う〜ん…月に一度はなんか面白いことが起きるので、それを消化しているうちに今に至ってるという感じなんですよ。
荒武:

でもやっぱりそれだけの工夫をしてるんだよね。自分らでもアクション起こしてるじゃないですか。それをちゃんとやってるから次もかけ合わせでいろいろできてきてるってことなんでしょうね。どこに誰がいるかわかんないからね。

hiroci: そうですね。ただホームページを見てもらいたいっていうのがすごく強かったので・・・、僕らが努力したのはそこだけですね。
あそこに全部つまってますもんね。あれ見れば全部わかる。
荒武: あれを武器にしたのはすごいですよ。
あのページはnanoさんの顔が出てるっていうのもいいんだと思うんですよね。もちろんすごくかわいいってこともあるけど誰がやってるのか正体が見えてるとやっぱり聴いてみようかなって気になるんじゃないかな。
hiroci: インディーズのページで音を聴いてくれるようなページを作るのって難しいみたいですね。
荒武: 難しいと思いますよ。いろいろ来ても正直あーちょっとめんどくさいな〜って思っちゃう場合が多いんじゃないかな。たくさんあるとその先のリアルオーディオで落とすようなとこまで行くのは結構エネルギーが要るんだよね。
やっぱり聴いてみようかなって風にさせるビジュアルやアイキャッチーは必要ですよね。
荒武: 普通その辺までなかなか手がまわらないんですよ。曲は作れるけどビジュアルや、ましてや英語のページにして海外に聴かせるようにするなんてなかなかできないけど自然にできてるところがすごいと思います。みんなにもやり方の一つとして参考になるといいですね。

release ● ドイツ・フランクフルトのレーベル *** shibuya hot *** (apricot records) よりヨーロッパ、アメリカ、アジアでリリースされるELECTRO POPコンピレーションCDに参加。 - 2001年8月発売予定 -参加アーティスト: Mt.Mushroom, Himawari, Eureka!, 小西康陽, 野宮真貴, Fantastic Plastic Machine, Sunaga t Experience,  etc...............................

live ● 2001-7-19(thu)START 21:00 BROOKLYN at club WIRE FEE 2000yen(1drink) LIVE:Mt.Mushroom DJ:サワサキヨシヒロ (V2Records, Sublime) yaa hagiii(big beat mania) etc...... info:club WIRE 03-3207-6953  ● 2001-8-4(sat)START18:00 LIVE at club asia FEE adv 2200yen(1drink)/day 2500yen(1drink) Mt.Mushroom/COLDFEET/OVER ROCKET  info:クリッパーズ 03-5428-5979 *Mt.MushroomH.Pでチケットの予約ができます。
[RealAudio]
moon beach
sakura
free love
『mt.mushroom』1500円発売中

mt-mushroomのサイトはこちらへ

http://www.mt-mushroom.com


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